鴨川の水に山法師、さいの目。白河法皇は、自らの意のままにならない…

西日本新聞 オピニオン面

 鴨川の水に山法師、さいの目。白河法皇は、自らの意のままにならない「天下三不如意」に挙げたそうだ。誰もがかしずく権力者にも、武装した僧兵やサイコロは言うことをきかぬ、との嘆きである

▼今は優しく京の町を流れる鴨川も、平安時代は制御できない暴れ川だった。大雨のたびに流路を変えるほどにあふれ、為政者を悩ませていた

▼緑の季節を覆う茶色の光景に現代の私たちもまた、今年も、人知を超える自然の破壊力を思い知らされた。4日朝にかけての大雨で球磨川が氾濫。熊本県南部の人吉や芦北地方で特に深刻な被害が出ている。水が引かず、まだ全容をつかめないのが心配だ

▼テレビの映像では、家々が1階まで水に沈んでいる。土砂につぶされた家もある。中におられた住人は無事であったろうか。屋根の上で救助を求めていた人は安全な場所に着いただろうか。ただただ案じるばかりである

▼折しも今日は九州豪雨から3年、明日は西日本豪雨から2年の日に当たる。情など通わぬ、理屈も解せぬ相手と分かってはいても、「毎年毎年いいかげんにしないか」と無慈悲な暴れ梅雨に憤りが募る

▼この原稿を書いている福岡市・天神のビルからは時折晴れ間も見えた。同じ九州の地での災害に、理不尽さと人ごとではない大雨の怖さを思う。「早め早めの避難を」。言い尽くされた言葉しか持たぬのが歯がゆいけれど、あらためて心したい。

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