見逃し率24%、空振り率11%-…

西日本新聞 オピニオン面

 見逃し率24%、空振り率11%-。昨年7月の九州北部(熊本県以北)の成績はこうだった。野球の記録ではない。気象庁による1週間先の天気予報のスコアブック(精度検証結果)

▼見逃しは「降水なし」の予報が外れて雨が降った日、空振りは「降水あり」と予報したのに降らなかった日。つまり、冒頭の数字は予報の的中率が65%にとどまったことを表す

▼明日の天気予報の的中率は一年を通じて8割を超す。けれども中長期の捕捉はなお難しく、1週間先の的中率が例年6割前後に下がるのが6~8月。この時季は「気象予報士泣かせ」ともいわれる

▼梅雨前線は北と南の高気圧のはざまで複雑な動きを繰り返し、雨の範囲や量を刻々と変える。加えて線状降水帯を形成する積乱雲の発達状況も事前に正確につかむのは至難とされる。今回の熊本を中心にした記録的な豪雨も、そんな現実と重なる。引き続き厳戒が必要だ

▼被災者の境遇は過酷そのものだ。肉親や財産を失った上、避難生活では暑さと未知の感染症との闘いが続く。気象庁の言葉を借りるなら、それこそ支援活動に見逃しや空振りがないよう万全を期したい

▼「天気予報の自由化」で民間気象情報サービスがスタートして今年で25年。気象庁と民間が競い合うことで予報精度は向上しつつあるが、相手は人知を超える大自然。決して備えを怠ってはならない。そのことも改めて胸に刻みたい。

PR

春秋(オピニオン) アクセスランキング

PR

注目のテーマ