筑後地区に大きな爪痕残す 各地で冠水、土砂崩れ

西日本新聞 筑後版

 7日昼まで一部自治体に大雨特別警報が出されていた福岡県の筑後地区では、前日からの大雨の影響が各地に広がった。大牟田市では80代の女性と男性が死亡。同市では7日午前6時40分までの24時間雨量が観測史上最大の446・5ミリを記録した。うきは市の筑後川温泉のホテルには、筑後川から越水した水が流れ込み、各地で道路冠水による通行止めや土砂崩れなどが発生した。

大牟田市―三川地区で「内水氾濫」か

 大牟田市では三川地区を中心に広範囲で浸水被害があり、孤立した住民520人が7日、自衛隊などにボートで救助された。雨はこの日も断続的に降り、浸水解消の見通しは立っていない。市消防本部は三川地区の大規模浸水について、水がはけずに起こる「内水氾濫」の可能性を指摘した。

 市によると、浸水した三川地区では田中春子さん(87)と光野弘規さん(84)が死亡。避難所の三川地区公民館とみなと小が孤立し7日朝から自衛隊員がボートで救助した。家屋に取り残された住民も多く、午後2時半までに警察や消防隊による救助も含め470人を救出した。新開町でも消防隊などが50人をボートで避難させた。

 三川地区公民館から娘2人と自衛隊に救助された末信留美さん(39)は「こんなことが起きると思わなかった」と表情を曇らせた。

 市内30カ所の避難所に最大で721世帯1860人(6日午後11時)が身を寄せた。7日午後7時現在の避難者は436人。土砂災害も約10カ所で確認した。

 7日夕に記者会見した市消防本部によると、三川地区のそばを流れる諏訪川の決壊や、地区近辺での越水は確認されていない。有明海の満潮と重なり、大量の雨が用水路などの能力で排水しきれず、市街地にあふれる「内水氾濫」が起きた可能性があるという。

 一方で、雨水を川に排水する三川ポンプ場が水没して故障した。市企業局は「水没前に浸水は始まっていたし、ポンプの能力を超える雨だった。水没が浸水の原因とは言えないが、大規模になった一因かもしれない」と説明した。

うきは市―ホテルの1階天井まで浸水

 うきは市浮羽町古川の筑後川温泉では、筑後川の水位が上昇し、6軒あるホテルや旅館と川の境界まで水が押し寄せ一時的に越水。このうち「虹の宿ホテル 花景色」では7日午前8時20分ごろ、大規模な浸水被害が発生した。

 「川側にあるレストランの窓が割れ、一気に水が流れ込んできた」とマネジャーの劉済然さん(50)は振り返る。ホテルは半地下構造の1階にレストラン、キッチンがある。川との間にはコンクリート塀があるだけで、増水で押し寄せた濁流があっという間に冷蔵庫や棚をなぎ倒した。水は1階の天井付近まで達した。

 ホテルは新型コロナウイルスの影響で4月以降は休館。8月からの宿泊客受け入れ再開を目指し、従業員20人で準備していた。復旧期間、費用は見当もつかない。劉さんは「従業員の努力を思うと本当につらい」と肩を落とした。

久留米市など―国道通行止め、臨時休校も

 久留米市では7日午前、同市東合川の国道210号の九州自動車道久留米インターチェンジ付近で、腰の高さほどまで道路冠水した。周辺は前夜から通行止めに。水の中を歩いてコンビニに向かっていた近くの男性(22)は「もう毎年のこと」と力なく笑った。

 久留米市では午後6時現在、約50避難所に587世帯1224人が避難。うち同市の鳥飼小では、密を避けて図書室など4部屋に住民を分けた。市は8日も市立の小中学校と特別支援学校を臨時休校する。

 八女市立花町上辺春では斜面が崩れ土砂が県道をふさいだ。車が通行できなくなり、市は県道の先の松尾集落におにぎりを届けた。

 筑後川沿いの大刀洗町では道路や水田などが冠水。町中央公民館には午後5時現在で52世帯102人が避難した。

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