AIが台頭する中で、人間は何をすべきか!著者に見えている新たな世界とは

西日本新聞

「ソサエティー5.0」という言葉を知っているだろうか。

 内閣府のHPによれば、これは情報社会(ソサエティー 4.0)に続く新たな社会となる、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会」のことを指すそうだ。

 本書のタイトルである「働き方5.0」とは、そのソサエティー5.0において必要とされる働き方のこと。つまり著者は、コンピュータやAIが間違いなく台頭するであろうこれからの社会で、「人間中心」でいるために人間がやるべき仕事とは何か、について解説しているのである。

 図らずも昨今の疫病による脅威は、私たちの現実をまるごとタイムマシーンに乗せていきなり数年後へ連れていったかのような印象を受ける。リモートでの仕事や授業、会合など、急に押し寄せてきたデジタルの波に、誰もがとりあえず乗るしかない状況になった。個人も企業も否応なしに、ソサエティー5.0へと続く大きな流れに飲み込まれてしまったのだ。

 そこで人間はどう働いていくべきか。コンピュータは目まぐるしい速さで自ら進化し続ける。処理能力は人間とは比べ物にならない。よって著者の言う通り、現在のホワイトカラーと呼ばれる仕事が消え、ブルーカラーが残るかもしれない。しかも、コンピュータと人間との境界はますます曖昧になり、デリバリーフードの配達などが既にそうであるように、いつの間にか人間ではなくシステムに指令される仕事へと変化していくに違いないのだ。

 著者は言う。こちらがコンピュータの力を借りて世界をつくりたいなら、コンピュータになくて人間にあるものを鍛えろと。そしてそれを最大限に活用し、付加価値の高い能力を持つ人材になれと。そのためにどうするべきなのか、その方法が極めて具体的に語られている部分は必読だ。精巧な自動翻訳機がすぐ登場するであろうこれからは、英語の勉強よりもっと重要なことがあるのだ。

 本書は既刊のロングセラーの新書版だが、アップデートされているので既読の方も是非手に取ってほしい。デジタルの世界で4年の変化は大きい。また若い世代向けの内容なのだが、子どもを持つ親にも大変ためになる。子どもの将来のために本当に必要なのは何か、そこに古い価値観は全く通用しないことを気づかせてくれる開眼の一冊だ。

 

出版社:小学館
書名:働き方5.0 これからの世界をつくる仲間たちへ
著者名:落合陽一
定価(税込):902円
税別価格:820円
リンク先:https://www.shogakukan.co.jp/books/09825371

西日本新聞 読書案内編集部

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