たくましい自衛隊員の腕に抱かれた生後間もない赤ちゃん…

西日本新聞 オピニオン面

 たくましい自衛隊員の腕に抱かれた生後間もない赤ちゃん。豪雨に見舞われた福岡県大牟田市で、孤立した自宅から母親と一緒に救い出された生後2カ月の女の子だ

▼きのうの本紙朝刊に大きな写真。テレビのニュースでも放送された。元気そうな赤ちゃんの姿に「よかった」という声が全国から聞こえるような気がした

▼杉田二郎さんが歌った「ANAK(息子)」の一節を思い出す。<お前が生まれた時 父さん母さんたちは/どんなによろこんだ事だろう/私たちだけを 頼りにしている/寝顔のいじらしさ>。親ならば誰もがうなずこう

▼同じ日の紙面に胸を締め付けられる記事が。東京の24歳の母親が3歳の娘を1週間ほど自宅に放置し衰弱死させたとして逮捕された。母親は鹿児島県の交際相手に会いに行っていたという。幼い女の子はどれほど苦しかったろう。ひもじさの中で母親の姿を探し求めたに違いない

▼母親は娘の父親と離婚し、2人暮らしだったそうだ。どんな事情があったのかは分からないが、この母親も娘が生まれた時は喜んだ、と思いたい。置き去りにしていた間、親を頼りにするいじらしい寝顔は浮かばなかったか。孤立した母親と娘を救い出す腕がなかったのが悲しい

▼コロナ禍の中での豪雨災害。救われた命があれば、救えなかった命も。命の重さを改めてかみしめるほどに、一つでも多く「よかった」と言えることを願う。

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