お隣の娘さんに励まされ 連載・霹靂の日々【32】大島一樹

西日本新聞 くらし面

 オクサンが入院している慢性期病院の病室は、基本的に女性と男性は分かれた4人部屋。四隅にベッドと、それぞれ横にテレビ台を兼ねた可動式の棚があり、ほかに共用の洗面台も置かれています。

 当初はオクサンの隣に、気になる方がいらっしゃいました。年齢はおそらく10歳程度は上で、意識はほぼなく、人工呼吸器を装着されていました。

 娘さんと思われる人が私と同様、ほぼ毎日お見舞い。数日でお話しするようになりました。脳卒中による療養とのこと。「オクサンより重症なのかも」と感じていました。

 その頃、どこかで読んだ文章に「老人介護施設や病院に入っている人には、ステータス(社会的立ち位置の高さ)がある」とありました。それは収入の多寡でもなく顔や服装の見た目の良さでもなく、お見舞いに来られる頻度だとのこと。

 それに照らすとお隣さんやオクサンは「ステータスが上かも?」などと考えました。確かにどんなにお金持ちでもお見舞いがないと、とても寂しいもの。おそらく気持ちの張りにも、回復にも影響するでしょう。

 隣で私がオクサンをストレッチする姿を見ていた娘さんがある日、「旦那さんに対しては表情が柔らかいですね」や「ストレッチの後はホッとした表情をされていますよ」と言われました。さまざまなプレッシャーを感じ続けていた私には、とてもうれしい言葉でした。

(音楽プロデューサー、佐賀県みやき町)

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