1日16時間起立を強要 中国一斉拘束5年、弁護士証言

 【北京・川原田健雄】中国で2015年7月9日以降、人権派弁護士ら約300人が一斉拘束された「709事件」から9日で5年。国家政権転覆罪に問われて服役した人権派弁護士、王全璋氏(44)が西日本新聞の取材に応じ、当局による激しい拷問の実態を明らかにした。今後、不当な取り調べの法的責任を追及する構えで「やるべきことをやっていく」と決意を新たにする。

 習近平指導部は15年7月から人権派弁護士らの一斉摘発を始め、数カ月で約300人が拘束された。王氏も山東省済南市で同年8月、公共秩序騒乱の疑いで連行され、その後約3年、家族にも安否が知らされない状態が続いた。

 王氏によると、16年1月に国家政権転覆容疑で逮捕されるまでは、当局が用意した施設で「居住監視」と呼ばれる拘束状態に置かれた。閉じ込められたのは窓のない真っ暗な部屋。海外勢力とのつながりを厳しく追及され、日常的に暴言や殴打を受けた。「1カ月間、毎日朝6時から夜10時まで両手を上げたまま立たされた。長期間睡眠を妨害されたり、トイレに行かせてもらえなかったり、人体実験のようだった」

 一切の自由が奪われ、精神的に追い詰められた。「一番つらい時期は自分の命にすら関心がなくなった。もうこれ以上、生きたくないと思っていた」

 逮捕後に移された拘置所では、20平方メートル程度の部屋に20人超が押し込められた。「それでもテレビを見ることができ、会話もできた。自由だとすら感じた」と当時の心境を振り返る。

 裁判前、自分が選んだ弁護士との接見は認められなかった。18年12月に非公開で開かれた初公判で、王氏は「国民には法律上の権利がある」と叫んだが、「その後も形式的に裁判が進むだけ。何の意味もなかった」。当局者からは上訴しないよう圧力を受けた。「裁判を繰り返して死刑になった例もある」「もし上訴したら懲役8年にするぞ」と脅されたこともあった。

 今は懲役4年6月の刑期を終え、北京の自宅で暮らす。「当局者が近くで監視している。完全に自由ではない」と明かす。弁護士資格も剥奪されたが、法律の知識を生かして冤罪(えんざい)被害者を支援するつもりだ。自分を拷問した当局者の刑事責任などを問う法的手続きも進める。「怖くないとは言えないが、信頼できる弁護士や学者の仲間がいる。海外の人たちも中国の人権状況に注目してほしい」と支援を呼び掛けた。

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