景気見通し悪化 感染再拡大の不安解消を

西日本新聞 オピニオン面

 コロナ禍に見舞われた企業のうめき声が聞こえるような数字となった。

 日銀が発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)だ。リーマン・ショック後の短観以来11年ぶりの低水準である。

 企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業の製造業、非製造業とも前回の3月調査から大幅に下落し、企業心理の悪化が鮮明になった。

 中でも日本経済をけん引してきた自動車は、海外販売の不振で55ポイント下落のマイナス72に沈んだ。外出自粛により遊園地などの対個人サービスと宿泊・飲食サービスも過去最低を記録した。予想されていたとはいえ、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は深刻だ。

 加えて悩ましいのは、先が見通せないことだ。先行きの景況感について大企業は小幅改善を見込むが、中堅・中小企業の見方は厳しく、全体ではさらに悪化する見通しだ。九州・沖縄の企業も悪化を予測している。

 緊急事態宣言の全面解除から1カ月が過ぎ、景気が急速に落ち込む最悪期は脱したとの見方がある。経済活動の再開を踏まえ政府は6月の月例経済報告で「景気は下げ止まりつつある」と景気判断を上方修正した。

 ただ、景気がこのまま反転して持ち直すとみるのは楽観に過ぎよう。世界経済の今年の成長率見通しは下方修正されマイナス幅が拡大した。自動車など輸出で稼ぐ産業にとってはV字回復を期待するのは難しい。

 今回の豪雨により九州など各地で深刻な被害が相次ぎ、地域経済に打撃となる心配もある。

 新型コロナ関連の経営破綻は300件を超え、解雇や雇い止めは3万人を突破した。4月に急増した休業者は高止まりしている。現状のまま「底ばい」が長期化する懸念もある。

 政府には、既に2度の補正予算で財源を確保した経済対策の迅速な実行を求めたい。支援が必要な企業や個人事業主に早く届けてほしい。

 有効な治療薬やワクチンが開発されるまで、社会経済活動に一定の制約が続くのは避けられない。パンデミック(世界的大流行)は加速しており、米国では新規感染者が再び増加している。日本国内も第2波に襲われれば、ようやく動き始めた経済が失速するのは必至だ。

 社会経済活動を正常化させるために積極的感染防止戦略に転換するよう求める提言を有識者グループが発表した。検査・医療体制を一段と強化し、感染再拡大への不安を取り除くことで消費や投資が活発化する-との主張には納得がいく。医療崩壊の懸念を解消することが経済活動を本格化する土台となる。

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