高血圧の薬なくなる「それまでに道を」 球磨村の孤立集落、募る不安

西日本新聞 梅本 邦明

 熊本南部を襲った豪雨で孤立集落がいくつも発生した熊本県球磨村。9日夜の段階で車両が通れず、孤立状態が続く立野地区に記者が車と徒歩で向かい、集落の厳しい状況を取材した。

 山間部の立野地区は幹線道路の国道219号から約5キロ。国道まで降りるには球磨川の支流沿いの一本道しかないが、その道は豪雨で崩壊していた。

 10日午前10時ごろ、寸断された道で、住民が補修作業をしていた。地区班長の男性(51)によると、立野地区の採石場にあったパワーショベルを使っているという。「国道沿いの被災がすごいから球磨村の職員はここまで手が回らないのではないか。(補修が)いつになるか分からんし、待っておくよりは自分たちでやろう、と」

 集落には17世帯44人が暮らす。今回の豪雨では床下浸水などが発生したという。自衛隊の車両は道が寸断された場所まで来る。隊員はそこから歩くか、地元住民の車に乗って立野地区まで来て、物資(飲料水、カップラーメン、バナナ、クラッカー、缶詰)を置いていってくれる。電気も水道も止まっているので、雨による山水をポンプでくみ取り、風呂や洗濯、食器洗いに使ってしのいでいる。

 なぜ、孤立が長期化しているのか。「自衛隊の大きなヘリコプターが着陸できる場所はない。山の中は雨が降ると霧が入り視界不良になって、そんなにヘリも来ることはできない」と班長は語る。赤ちゃんや体の具合が悪い高齢者ら6人はドクターヘリなどで避難した。

 集落に残った女性(47)は「夫が山道の補修を手伝っており、自分だけ避難することはできない。高齢者も残っているし、私たちのような動ける人間がいろいろやらないといけない」。一方で「夫が作業するのはハラハラする。また雨が降って山崩れでも起きたら…」と心労は絶えない。

 携帯電話の電波が入らない上に防災無線も聞こえず、村内の被災状況や天気の情報が入らない。電気が使えないから車のエンジンをかけて、その際にスマートフォンを充電している。使える日が来ることを信じて。

 女性にはさらに不安がある。高血圧を抑える薬が20日でなくなってしまうからだ。「それまでには道が直ってほしい」。悲痛な思いを込めた。(梅本邦明)

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