大牟田高駅伝部が恩返しの泥かき OBのうどん店主「必ず復活を」

西日本新聞 社会面 吉田 賢治

 大規模冠水に見舞われた福岡県大牟田市三川地区にあるうどん店「飩平庵(どんべいあん)」は、床上浸水の被害を受けた。再開の見通しが立たない中、片付けの応援に駆け付けてくれたのが、地元の大牟田高駅伝部の約30人。同校OBの店主江崎博文さん(66)が続けていた支援への恩返しだった。「あの子たちのおかげで前を向くことができた」。10日も強い雨がたたきつける中、江崎さんは「必ず復活します」と復旧作業に取り組んだ。

 店は6日昼すぎから浸水し、瞬く間に腰上の高さに。客席の椅子やテーブルが散乱、調理器具やどんぶりも泥水に浮いた。「2階の事務所にひと晩中いた。水に漬かりながら重さ数十キロの麺伸ばし機を高い場所に上げるのが精いっぱいだった」

 8日にようやく水が引き、泥だらけの店内で「後片付けだけで1カ月はかかるだろう」と落胆していると、旧知の駅伝部の赤池健監督(47)から支援の申し出があった。

 全国高校駅伝で5回の優勝を誇る同部。「成績がいいときも悪いときも、分け隔てなく気に掛けてくれ、『部員たちを腹いっぱい食べさせて』と野菜や米、うどんをいつも提供いただいている。今こそ役に立ちたい」。赤池監督は全部員を連れて急行した。

 下宿生活で皿洗いにも慣れている部員たち。調理場、客席、玄関などと分担し、マスクをして泥だらけになりながら作業を続けた。荒れ果てた店内は約3時間で見違えるほど整理された。江崎さんは「救いの神だった」と語る。

 赤池監督は「飩平庵だけを手伝うことには心苦しい面もある。ただ、被害の大きさに驚いた部員が黙々と作業する姿は、とても頼もしかった」と話す。

 10日、常連客に「大変ですね」と声を掛けられた江崎さん。「おたくは大丈夫でしたか」と気丈に笑顔で応じた。「多くの人との縁を改めて感じた。下を向いてはいられない」 (吉田賢治)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ