夏の到来を告げるホトトギス…

西日本新聞 オピニオン面

 夏の到来を告げるホトトギス。その鳴き声は「テッペンカケタカ」と聞こえるという。昼だけでなく夜中にも鳴く。平安の風流人は、初音を一番に聞こうと夜更かしして耳を澄ませたそうだ

▼一方、闇の中で姿を見せずに鳴くので、冥土に通う不吉な鳥とも。眠っている間に鳴かれたら魂が誘い出されると恐れ、初音を聞き逃さないよう徹夜したという話が伝わる

▼熊本県南部を激烈な雨が襲って1週間。河川の氾濫や土砂災害の被害は九州全域に広がった。多くの人が犠牲になり、行方不明者の捜索も続く。道路の寸断で孤立した住民の救助も急がねば

▼コロナ禍で自粛していた営業をやっと再開した旅館やホテルも痛手を負った。水没した田畑、売り物にならぬ農作物。めちゃくちゃになった店舗。水魔は日々のたつきも奪った

▼雨の合間、泥にまみれた家を片付ける人たちの姿が各地に。コロナでボランティアの助けも借りにくい。蒸し暑さの中、つらい重労働が続く。そこにまた無情の雨。九州はあすにかけて大雨の予報だ

▼これまでの雨で地盤が緩み、災害が起きやすくなっている。「ミズカサマシタカ」「ウラヤマダイジョウブカ」。雨音に耳を澄まし、身近な異変を見逃さないようにしてほしい。眠っている間に不吉な鳥が鳴くかもしれぬ。闇に包まれる前に安全な場所へ避難を。互いに用心し合って過酷な梅雨を耐え、夏の青空の到来を待ちたい。

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