豪雨から1週間の熊本県南部 やまぬ雨、進まぬ復旧…住民の疲労色濃く

西日本新聞 夕刊

 熊本県南部に甚大な被害をもたらした記録的豪雨の発生から1週間を迎えた11日、被災地は再び雨に見舞われた。氾濫した球磨川の水位が上昇し、一帯では避難が呼び掛けられた。人吉市で予定されていた道路沿いの災害ごみの回収作業もストップ。八代市でも避難者を自宅に運ぶ無料バスの運行が延期された。避難生活を続ける住民は疲労の色が濃く、先行きの見えない現状にため息が漏れた。

 「球磨川が午前9時に氾濫危険水位に到達する見込み。住民は避難してください」。人吉市九日町で「みゆき美容室」を営む勘米良美代子さん(72)が、消防団の呼び掛けを聞いたのは午前8時40分。水没した機材や商品の片付けを中断し、避難所へ急いだ。人吉市や県、自衛隊などが予定していた幹線道路沿いの災害ごみの撤去は延期された。

 球磨村では、若い男性が軽トラックに乗り大声で家々に避難を呼び掛けた。「球磨川の水位が上がってる。早く高台へ」。ある高齢男性は「まだ大丈夫」と片付け作業を続けていたが、車で通り掛かった人が「死ぬから。早く」と訴えて荷台に乗せて避難した。

 八代市では、市街地と被災した坂本町を結ぶ国道で土砂崩れが発生。8日から一部制限を設けて通行を再開していたが、11日朝から再び通行止めに。同日から始める予定だった避難所と坂本町を結ぶシャトルバスの運行は、中止に追い込まれた。

 「娘や孫に任せっきりの洗濯物を整理したり、大切に漬けていたらっきょうの様子を確認したりしたかったのに。次はいつ帰れるだろうね」。シャトルバスに乗る予定だった水本龍清さん(87)は声を落とした。

   ■    ■ 

 「復旧のめども立たないし、避難所に慣れてしまった」。球磨村の被災者が多数避難する旧多良木高(多良木町)の避難所で、球磨村渡地区の大島真也さん(59)は嘆いた。球磨川近くの自宅は3階まで浸水、避難所生活は1週間になった。「前に進むには、ここを出て行動しなきゃいけないが、生きるためには避難所を離れられない」

 球磨川が増水し、高台の球磨村総合運動公園には次々と避難者が集まった。地下スミカさん(80)は「また1週間前のようになるのかと思って怖かった」。夫の一幸さん(80)は「腰が悪いので、避難続きは体にこたえる」と話した。

 14人の入所者が命を落とした特別養護老人ホーム「千寿園」は静まり返っていた。施設へ通じる道路にあった土砂や流木は撤去されたが、施設内には机や椅子が散乱し、割れたガラスもそのままだ。

   ■    ■ 

 津奈木町福浜の丸橋勇さん(85)が亡くなった土砂崩れ現場では、妻ミチ子さん(83)と長男貴孝さん(58)が見つかっておらず、小雨の中、朝から約140人が捜索活動に当たった。周辺に押し寄せた倒木や家屋のがれきはほとんど取り除かれており、捜索隊は重機やスコップで土砂をかき分けた。捜索を見守った近くの浜田健三さん(78)は「雨で環境が良くないが、早く見つかってほしい」と願った。

 熊本県警はこの日、災害に付け込んだ詐欺や空き巣被害を抑止するためのパトロール部隊を出発させた。24人態勢で八代、芦北、水俣、人吉署管内を巡回する。吉田至生活安全部長は「犯罪未然防止が第一だが、災害の渦中にあり人命救助、避難誘導をしてもらうこともある」と送り出した。(現地取材班)

津奈木で1人発見

 熊本県津奈木町によると、11日午前11時半ごろ、丸橋勇さん(85)が亡くなり、妻ミチ子さん(83)と長男貴孝さん(58)が行方不明となっている同町福浜の捜索現場で、1人が発見された。

熊本総局が移転しました

熊本総局 移転先地図

西日本新聞熊本総局が移転しました。新しい総局は、熊本市中央区の熊本桜町バスターミナルに近い坪井川沿いです。電話、FAX番号も変更となりました。

▼移転先
住所 〒860―0805 熊本市中央区桜町2番17号第2甲斐田ビル9階
電話 096(323)1851
FAX 096(323)1853

熊本県の天気予報

PR

熊本 アクセスランキング

PR

注目のテーマ