決壊仕組みに4パターン目「パイピング」 球磨川の堤防、13日に調査

西日本新聞 総合面 横田 理美

「陸側から川へ流れた」例も

 熊本県南部を襲った豪雨では、同県人吉市を流れる球磨川の2カ所で堤防が決壊。流域に大きな被害をもたらした。球磨川では2012年に堤防や地盤の点検が行われ、決壊の危険性が判明した箇所が9カ所あった。ただ、今回の決壊はその9カ所とは別の場所で発生。そのとき、川で何が起きていたのか。原因を究明するため、専門家による現地調査が13日に開かれる。

 国土交通省九州地方整備局(福岡市)によると、今回決壊したのは人吉市中神町馬場の右岸の幅約30メートルと、約1キロ下流に位置する同市中神町大柿の左岸の幅約10メートル。このほか球磨川では3カ所で川の水が堤防を越え、堤防のない場所8カ所で水があふれ、13の橋が流失(8日現在)。流域の約1060ヘクタール、約6100戸が浸水した(4日現在)。

 堤防が決壊するメカニズムは大きく3分類されることが多いが、九地整河川計画課は一つ加えた4パターンを挙げる。

 一つ目は、堤防を越え外側にあふれた水がのり面を下から削り取って崩壊させる「越水」。二つ目は、勢いよく流れる川の水が堤防を河川側から削る「侵食」。三つ目は、川の水が堤防の土の中に染み込み、強度が弱くなってのり面が滑る「浸透」だ。

 同課ではこれに加え、「パイピング」を四つ目のパターンに分類。堤防下の地盤の弱い部分に、川の水がパイプ状の通り道を作り堤防を沈下させるもので、12年の九州北部豪雨で発生した矢部川(福岡県柳川市)の決壊がこれに当たるという。

 九地整八代河川国道事務所(熊本県八代市)は矢部川の決壊を受け、球磨川で「パイピング」の危険性に主眼を置いた点検を実施した。すると、八代市の下流域5カ所と熊本県球磨村、人吉市、同県相良村の上流域4カ所で「浸透」や「パイピング」の危険があると判明。6カ所で対策を済ませた。

 「越水」は通常、川の水が堤防の外にあふれることを指すが、昨年の台風19号では「陸側(堤内地)から川への越水」が複数発生したとされる。降雨で浸水した堤内地に、上流で氾濫した川の水が流れ込み水位が上昇。堤内地側から堤防を越水して河川側ののり面を削り、崩壊を招いたという。

 今回の球磨川の決壊原因は、どのパターンだったのか。同事務所の吉田知之・工務第一課長は現場の2カ所について、「堤内地側にたまった水がより低い位置にある球磨川へ流れ込む場所に近い」と説明。ただ、決壊は雨量や地形など複合的な要因が考えられるため、現時点で一概に当てはめるのは難しいという。

 専門家による「球磨川堤防調査委員会」は決壊の原因を慎重に調べ、復旧工事の工法などを検討する方針。堤防の決壊には至っていないが、パイピングの現象が確認された福岡県久留米市の筑後川でも13日、調査委による現地調査が行われる。 (横田理美)

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