狙いは幹事長ポスト死守 二階氏、秋人事へ布石 党内政局仕掛け活発

西日本新聞 総合面 一ノ宮 史成

 今秋に迎える自民党役員人事に向け、二階俊博幹事長の動きが慌ただしくなっている。安倍晋三首相(党総裁)ら政権幹部と相次いで会食する一方、首相と反目する石破茂元幹事長にも急接近。こうした党内政局を仕掛けることで、その中心に身を置き、存在感を強調している。狙いは、自身の力の源泉でもある「幹事長ポスト」の死守に他ならない。

 「(首相に)『しっかり支える』と言っておいてほしい」。今月初旬の党本部幹事長室。二階氏は首相に近い二階派幹部に告げた。6月中旬に「現政権が任期いっぱい務めることを幹事長として補佐していく」と記者団に語った二階氏。この幹部は首相への「伝言」は9月にもある党役員人事での幹事長続投を強く意識した発言と受け止めた。

 二階氏は6月中旬以降、活発に動いている。麻生太郎副総理兼財務相や菅義偉官房長官とそれぞれ会食。24日は首相の誘いで2時間、都内の日本料理店で杯を交わした。首相と二階氏の少人数の会食は2年3カ月ぶり。首相は、二階氏が口火を切った新型コロナウイルスの緊急経済対策の現金給付「一律10万円」への転換劇に触れ「言ってくれて良かった。おかげで党の面目を保てた」と謝意を述べたという。首相が昨秋の党役員人事で、自身の後継含みで岸田文雄政調会長への幹事長交代を画策してから首相と二階氏には微妙な距離感が生じていることから、党関係者は「和解も含め、互いに腹の内を探り合う場だった」と推察する。

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 幹事長は選挙の公認権や資金の差配を握る党ナンバー2のポストだ。二階氏は2016年の就任以来、この立場を活用し、老練な政治術を駆使。反安倍派を抑え込み、党内のバランスを保ってきた。9月8日まで務めれば「政治の師」と仰ぐ田中角栄元首相を抜き通算在職日数は歴代トップとなる。ただ、81歳の高齢などを理由に今秋の役員人事で「交代論」がくすぶる。

 幹事長を巡り、ライバルと目されるのは昨年と同じく岸田氏だ。二階氏は今月2日、岸田氏と双方の派閥幹部を交えて会食した。二階氏はこの席で「(岸田氏は)トップを目指すのだから。前途洋々、次に期待する」と岸田氏にエールを送ったが、党内に言葉通りに受け取る向きは少ない。

 もっとも二階氏は既にポスト安倍レースで岸田氏と競う石破氏との「接近」という布石も打つ。6月に石破派の政治資金パーティーの講師役を引き受け、従来「党の人材の一人」と評し距離を取ってきた石破氏を「期待の星」と持ち上げた。二階派ベテラン議員は「『石破とも組めるぞ』という首相や岸田氏へのけん制だ」と解説する。

 来年9月に総裁任期を迎える首相にとって今秋が人事権を振るう最後の機会とみられる。昨秋と比べ新型コロナ対応の混迷などで内閣支持率は低迷し、ぐらつく政権の体力は少ない。首相は党内政局の火種を生みかねない幹事長交代を選ぶか否か。二階氏周辺は警告する。

 「二階氏を外すなら首相は『安倍降ろし』に動くリスクを覚悟する必要がある」 (一ノ宮史成)

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