石炭火力廃止 政府は電源の将来像示せ

西日本新聞 オピニオン面

 毎年のように九州や全国各地を襲う豪雨災害は気候変動と無縁ではあるまい。地球温暖化対策は待ったなしだ。

 温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の増加が温暖化の大きな原因とされる。CO2は化石燃料の利用に伴い大量に発生する。特に石炭は排出量が多く、石炭火力発電の削減・撤廃が世界の潮流となっている。日本は周回遅れと批判されており、対策に本腰を入れるべきだ。

 梶山弘志経済産業相が先日、旧式で効率が悪い石炭火力発電設備の休廃止を打ち出した。一歩前進ではあるが、まだまだ十分とは言えない。

 石炭を燃やす限りCO2の大量排出は免れない。政府主導で将来あるべき電源構成を議論し、脱石炭の道筋を産業界と国民が共有しなければならない。社会全体で踏み出す覚悟が必要だ。

 現在国内には140基の石炭火力がある。うち114基が非効率とされ、その9割に当たる100基程度の休廃止を目指すという。電力会社別に非効率設備の発電量に上限を設け、徐々に引き下げて休廃止を促す方法などが検討される見通しだ。

 非効率な石炭火力を徐々に減らすこと自体は2018年に決めたエネルギー基本計画にある既定路線だ。ようやく政府が動きだしたとみるべきだろう。

 一方で政府は高効率の設備は新設を認め、国際的に批判のある輸出支援についても条件付きで続ける方針を決めた。18年の基本計画には次世代の高効率化技術を実用化し導入を進めるともある。石炭火力は30年度に発電電力量の26%程度を占め、27%程度の液化天然ガス(LNG)と並ぶ基幹電源のままだ。

 技術開発は重要だが、限界もある。石炭がLNGの倍近いCO2を出すことは変えられない。古い設備を廃止しても、新設を続ければ今世紀後半になっても脱石炭を実現できない。環境団体から「石炭火力の延命策」と批判が上がるのはもっともだ。

 20~30年代に石炭火力をゼロにする方針を明確にしたフランス、英国、ドイツなどとの違いは大きい。腰が定まらない日本の姿勢が国際社会からさらに厳しい批判を招く恐れもある。

 電源構成について政府は30年度までしか数値目標を定めていない。火力以外では再生可能エネルギー22~24%程度、原発20~22%程度となっている。原発は安全性への懸念などから再稼働が9基にとどまり、目標達成は見通せない状況だ。

 脱炭素社会の実現には、再生エネを最大限活用する以外に道はない。ここで意欲的な目標を設け、再生エネを大量導入するための蓄電技術の開発やコスト削減を進めるべきである。

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