【動画あり】苗を傷つけず雑草だけ除去 オーレックが自走式農機開発

西日本新聞 九州経済面 岩尾 款

 農作業の負担を軽減しようと、現場が抱える課題や要望に耳を傾けて農業機械を製作し、信頼を獲得している地場農業機械メーカーが九州にある。農業機械の市場では出荷額の約8割を総合メーカーが占める中、独創性を発揮し、農家と二人三脚で歩むことで事業を展開している。

 有機農業で最も大きな課題が雑草の除去。その解決に役立つ自走式農業機械を福岡県広川町の「オーレック」が完成させた。「アイガモ農法」の第一人者である古野隆雄さん(69)=同県桂川町=のアイデア除草具「ホウキング」の原理を4年がかりで反映。コメだけでなく、ほぼすべての作物に使用でき、有機農業推進を後押しする。

 有機農業は除草剤を使わないため、田畑に生える雑草の除去が欠かせない。定期的に取り除かなければ、雑草に負けて生育不良となる。苗が並ぶ列「条」の間の除草は一定程度機械化できても、苗と苗の間の「株間」は難しかった。

 ホウキングは2016年に古野さんが着想を得て製作した手製の除草器具。金属製松葉ぼうきを分割し、4連式に角材に斜めに固定する。これで田畑を掃くように引っ張ると、残したい作物の苗は松葉の針金の間をすり抜ける一方で、株間の雑草だけが取り除かれる優れものだ。

 作物の苗は深さ約3センチ(稲は約5センチ)に根を張るが、雑草は地表近くに根を張るものが多い。ホウキングはこの根の深さの違いに着目。松葉は上下左右に揺れながら地表近くをひっかくため、雑草だけが抜ける。オーレックは既存の多目的作業機に、着脱式のホウキング型除草具を取り付けられるようにし、低価格(約8万8千円)を実現した。

 アイガモに水田の除草や除虫をしてもらうアイガモ農法を確立した古野さん。稲作の省力化のため03年から取り組んだ、種もみを田に直接まく「乾田直播(じきま)き」では雑草に苦慮していた。

 一方、オーレックは果樹園で雑草を完全に除去せず、短く刈って土壌作りに生かす「草生栽培」向けに自走式草刈り機を開発した実績がある。07年から協力して「株間」の雑草除去ができる機械の開発に取り組んだ。

 月に数度、オーレックの担当者が古野さん方に実機を持ち込み改良を重ねた。完成した“自走式ホウキング”は最初の試作機から4代目。古野さんによると、鎌などを使い手作業で株間を除草すると約100メートルで約2時間かかる。それが、ホウキングなら1分、自走式ホウキングはさらに効率よく終わらせることができる。オーレックの開発担当、牛島崇裕さん(35)は「有機農業の苦労を取り除き、規模拡大につながればうれしい。それが私たちの願いです」と話す。

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