首相ら相次ぎ被災地入り 自治体に負担、問われる「実のある視察」

西日本新聞 総合面 川口 安子 下村 ゆかり 河合 仁志

 熊本県南部の被災地を日帰りの駆け足で訪問した安倍晋三首相。被災者は「国のトップの目で惨状を見てもらいたかった」と苦境の中でも歓迎したが、閣僚や与党幹部の相次ぐ受け入れは、被災自治体の負担になっている。専門家は「実のある視察のあり方を考えるべきだ」と指摘する。

 「地域が存続できるか。不安を直接うかがった」。首相は避難所などを訪問後、人吉市役所で記者団に被災者とのやりとりを紹介し、視察の成果を強調した。

 安倍首相は大きな災害が起きると必ず、被災地に入る。「自ら現場の声を聞いて、復旧、復興につなげたい」(菅義偉官房長官)との思いからだ。閣僚や与党幹部も同様で、今回の豪雨では、武田良太防災担当相や自民党の二階俊博幹事長、岸田文雄政調会長、公明党の山口那津男代表が熊本や福岡、鹿児島を回った。「見てもらえてうれしかった」。この日、首相に小学校の浸水被害を直接訴えた60代女性は振り返った。

 ただ、被災自治体にとっては、本来復旧に充てる人員を説明や警備に割くことになり、「迷惑だ」との声も常に上がる。新型コロナウイルスの感染拡大で移動に不安が広がる今回の災害はなおさらだ。

 官邸は批判があるのを意識し、首相入りの日取りや行程を詳細に検討。一度は11日に設定したが、現地の受け入れ態勢が十分でなく先延ばしした。それでも、この日の受け入れ業務を担当したある自治体職員は取材に「大人数で来られるし、大変です」と打ち明ける。

 「うちの大臣も行きたがっているが『今は現地の邪魔になります』と必死で止めている」(ある省庁の幹部)、「選挙応援が真の目的の場合もある」(与党幹部)…。広瀬弘忠東京女子大名誉教授(災害リスク学)は、こうした現状に異を唱える。「人数や回数を絞る一方、じっくり時間をかけて見て回る視察も必要だ」 (川口安子、下村ゆかり、河合仁志)

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