「負けるはずなかった」三反園氏、安泰なぜ崩れた 保守分裂の知事選

激震 鹿児島県知事選(上)

 鹿児島県知事選の開票情報が入るたび、自民、公明両党の県議の表情がこわばっていった。「みなさん、本当に申し訳ありませんでした。全ての責任は私にあります」。12日夜、鹿児島市の事務所。落選が確実となった現職の三反園訓(みたぞのさとし)氏は何度も頭を下げた。

 「三反園氏のオウンゴール。負けるはずがなかったんだが…」。陣営関係者は肩を落とした。

 「勝てる候補」として自民党県連が三反園氏の推薦を決めたのは今年4月。しかし、参院選で対立候補陣営に三反園氏の後援会幹部がいたことや、前回知事選で野党の支援を受け当選した経緯から複数の県議には根強い不信感があった。

 6月中旬の党調査では、元九州経済産業局長、塩田康一氏と元知事、伊藤祐一郎氏の2人のポイントを足しても三反園氏に届かなかった。安泰ムードも漂ったが、告示直前に、県内の首長が三反園氏から電話で票のとりまとめを依頼されたと証言。三反園氏は集票の意図は否定したが、雲行きが怪しくなっていった。陣営幹部は「どんと構えていれば良かったのに焦ったのだろう」と語る。

 県連が求めた後援会名簿の提出を拒否する県議も少なくなく、選挙戦に入ると「反三反園を貫きます」と国会議員に告げた。保守勢力は分裂。「自民支持層の6割前後が塩田氏や伊藤氏に流れた」とみる関係者もいる。

 選挙戦中盤の7月2日。三反園氏の最後の集会演説となった薩摩川内市の会場。約300人を前に、「まだ1期しかしていない。やりたいことがたくさんある」と訴えた。その後は感染者が急増した新型コロナウイルスや災害の対応のため街頭に出ることはなかった。政権幹部や閣僚らの応援は相次ぎ中止に。「塩田氏に並ばれた。衆院1、3区は先行されている」。7日、国会議員と県議を招集した森山裕県連会長はハッパを掛けた。ただ、集まったのは半分以下だった。

 4年前、三反園氏は原発政策で反原発派と政策合意を結び初当選につなげたが、その後、九州電力川内原発(薩摩川内市)の稼働容認に転じた。前回三反園氏に1票を投じた有権者は「裏切られた」と不信感を募らせ、今回離れた。元県議は、三反園氏の政治姿勢に危うさを感じていた。「初当選した日から、今回の結末に向かって走っていたのかもしれない」 (上野和重、河野大介、大坪拓也)

   ◇    ◇ 

 過去最多の7人による争いとなった鹿児島県知事選。同県初の民間出身知事、三反園訓氏は1期でその座から降りることになった。与党は2016年の前回知事選に続く敗北。保守王国に衝撃が走った。

鹿児島県の天気予報

PR

鹿児島 アクセスランキング

PR

注目のテーマ