人種問題がスポーツ界にも波紋 伝統否定に保守層反発

西日本新聞 国際面 田中 伸幸

トランプ氏同調、集票狙う

 【ワシントン田中伸幸】米国内で活発化している人種差別根絶運動の影響がスポーツ界など多方面に広がっている。13日にはプロフットボールNFLの名門「ワシントン・レッドスキンズ」が先住民を意味し差別的だと長年批判されてきたチーム名を今後、使用しないと発表した。だが伝統や慣習の否定ともいえる動きに保守層は不満を募らせる。11月の大統領選で再選を目指すトランプ大統領も保守層の支持固めにつなげようと批判を強めている。

 レッドスキンズの名称は先住民を象徴する「赤い肌」を意味し、87年間にわたりファンらに親しまれてきた。ロゴも先住民がモチーフだ。一方でこれまで「先住民の蔑称」と批判を浴び改称を求められてきたが、チーム側は「勇猛な先住民への敬意を表す名称だ」などと反論し拒否してきた。

 ところが白人警官による黒人暴行死事件を機にした「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命も大事だ)」運動など差別根絶を求める抗議活動が全米で活発化。差別問題に消極的な企業への不買運動などが呼び掛けられ、レッドスキンズの名称も改めてやり玉に挙がった。

 ワシントン・ポスト紙などによると、レッドスキンズの複数の主要スポンサー企業が消費者からの批判を回避するためチーム側に名称変更を要求。グッズ販売の取り扱いをやめるなどの動きも相次ぎ、改称を余儀なくされたという。

 大リーグのインディアンスも先住民に由来するチーム名の変更を検討。南部で人気のカーレース「NASCAR」では、白人ファンらが南北戦争時代に奴隷制を支持した南軍の旗を掲げて応援する慣習があったが、南軍旗の持ち込みは禁止となった。

 こうした動きは野党民主党支持層に重なるリベラル派が主導していることから、保守層が強く反発。レッドスキンズの新名称は未定だが、トランプ氏支持者は「(民主党を意味する)デモクラッツとでもすればいい」と怒りの声を上げる。

 トランプ氏はスポーツ界が反差別など「政治的な正しさ」に配慮し過ぎだと主張し、名称変更や南軍旗禁止に反対を表明。黒人奴隷を使用していた歴史上の人物の像を引き倒す一部リベラル派の運動を繰り返し批判している。

 その上で、一連の抗議活動を「キャンセル カルチャー」(歴史や従来の価値観を全否定する風潮)に基づく愚行だと連日糾弾。民主党批判のキーワードとして保守層に浸透させて不満や怒りをあおり、大統領選での得票につなげる思惑だ。

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