無観客コンサートのDVD販売 福岡市の針川さん、音楽家を支援

西日本新聞 ふくおか版 藤村 玲子

 新型コロナウイルス感染症の影響で演奏の機会を失った東京在住のバイオリニストとチェリストによる「無観客コンサート」が今月初旬、福岡市内のホールで開かれた。2人を招いたのは、同市の音楽団体「クヮルテット・フォーラム福岡」の代表、針川和継さん(61)。客を入れない代わりに演奏を収録したDVDを販売し、プロ奏者を収入面で支援しようと企画した。針川さんは「災厄に負けない音楽の力を伝えたい」と訴える。

 がらんとした80席の音楽ホールに、バッハのソナタが静かに響く。数人のカメラマンや照明のスタッフを入れ、4日間かけて演奏収録は行われた。

 披露したのは、札幌交響楽団の元コンサートマスターでバイオリニストの三上亮さん(43)と、昨年CDデビューを果たしたチェリスト、笹沼樹(たつき)さん(25)。新型コロナの国内感染が拡大した2月以降、三上さんは8月までの演奏会約40件が全て中止になった。笹沼さんも月6、7件あった演奏などの仕事が途絶えているという。

 「緊張感と達成感を久しぶりに味わった」(三上さん)、「目の前に聴衆はいなかったけれど、私の演奏会に足を運んでくださる人たちを思い浮かべながら弾いた」(笹沼さん)とそれぞれ振り返った。

 針川さんがクヮルテット・フォーラム福岡を立ち上げたのは1994年。弦楽四重奏を中心に年2回ほど演奏会を開く中で、三上さんと笹沼さんに出会った。2人の苦境を聞き、考えついたのが無観客コンサート。全6曲を収めたDVDを限定200枚で販売し、収益はそのまま奏者や、撮影を請け負った映像製作会社に渡す。

 各地では、音楽や演劇などの公演が再開へ向けて動きだしつつある。ただ、感染症対策で会場での3密(密閉、密集、密接)を避けるため入場制限をしなければならず、当面は採算面で厳しい状況が続きそうだ。針川さんは「生で聴く音の響きの素晴らしさを実感した。早く演奏会を再開できるようになれば」と願っている。

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 DVDは税込み5千円。購入希望者は、針川さん=092(525)1246=まで。

(藤村玲子)

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