八代海に大量流木、九州豪雨の6倍超に 台風で災害リスクにも

 熊本県南部を中心に九州各地を襲った記録的豪雨で、球磨川から八代海に流出した流木などの漂流物や漂着物が漁業者を悩ませている。国土交通省九州地方整備局によると、15日までに漂流物約7千立方メートルを回収した。回収量は、2017年の九州豪雨時の6倍を超えた。沿岸部には大量の漂着物も堆積し、識者は「高潮で漂流物や漂着物が堤防を越えれば、甚大な被害を及ぼす恐れがある」として、台風シーズンの新たな災害リスクにも警鐘を鳴らしている。

 「船が出せず、網も入れられない。漁業者は収入ゼロ」。八代漁業協同組合(熊本県八代市)の担当者によると、コノシロやスズキを狙う小型定置網漁や、特産のアシアカエビ漁も再開のめどが立たない。「流木などは海底にも沈んでいる。環境の悪化が怖い」と懸念する。

 海上の漂流物は国交省が回収船9隻態勢で撤去を進めるが、全体量は把握できず撤去完了は見通せない。九地整の担当者は「沿岸の漂着物が満潮時には再び海に流出し、風向き次第で漂流する。いたちごっこだ」と対応に苦慮している。

 熊本県港湾課によると、沿岸の漂着物は推計で3万立方メートルに上る。撤去は県や市町村が行うが人命救助や災害対応を優先せざるを得ず、完了の見通しは立たない。同課は「梅雨明け以後に検討する」としている。

 漂着物は、豊かな生態系を育む干潟も埋め尽くした。八代海北側の最奥部に位置する宇城市不知火町の干潟は、季節特有の南風で吹き寄せられた流木やがれきが一面を覆い、中身不明のドラム缶や家電も交じる。水深が浅く、回収の船も近寄れないという。

 現地調査に入った熊本大大学院の辻本剛三教授(海岸工学)は、環境への悪影響と併せて「撤去が進まない中で台風が接近、上陸した場合には、漂着物が予期せぬ災害リスクとなる可能性もある」と指摘する。

 台風の接近で気圧が下がると海面が上昇し、強風による波が陸地に吹き寄せる。漂着物が消波ブロックの隙間に入り込んだり、ブロックそのものが破損したりすると防災機能が低下し、波が強い威力で堤防にぶつかる。「波が漂着物と共に堤防を越え、強風で漂着物が飛散する危険もある」(辻本教授)。漂着物が交じった高潮の発生だ。

 「流木が交じった高潮は構造物をも壊す。1959年の伊勢湾台風では貯木場から海に流出した材木が高潮と共に押し寄せ、甚大な被害をもたらした」と辻本教授は指摘する。九地整も「津波のような破壊力となる」と危機感を強める。

 台風の発生は7~10月に多い。対策は撤去以外にない。 (古川努)

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