列車失い「前向くしか」東峰村住民に寂しさ 日田彦山線BRTで復旧決定

西日本新聞 ふくおか都市圏版 横山 太郎

 九州豪雨から3年。被災したJR日田彦山線は、鉄道ではなくバス高速輸送システム(BRT)で復旧されることが正式に決まった。村内全域が不通区間である福岡県東峰村の住民は、列車が走る風景を失う寂しさをにじませながらも、「今は、前を向くしかない」と古里復興への決意を新たにした。

 「列車の音がもう聞けないと思うと、やっぱり寂しいですね」。福岡、大分両県と沿線3市町村、JR九州がBRT導入で合意した16日、同村の筑前岩屋駅近くに住む農家の井上健司さん(66)は、自宅から見える線路の土手を見つめながら、つぶやいた。

 決まった時刻に聞こえる列車の音は、井上さん一家にとって時計代わりだった。妻の昌子さん(63)は「農作業している私たちに昼食時を知らせてくれたり、子どもたちが学校からそろそろ戻ってくることを教えてくれたり。もう生活の一部でした」と振り返る。

 井上さんの自宅がある岩屋地区の線路の土手は毎年春になるとツツジの花が咲き誇る。約40年前、土手に雑草木が生い茂り景観を損ねていたため、住民たちがツツジを植栽したのが始まり。みんなでお金を出し合って苗木を購入し、少しずつ増やしてきた。

 列車とツツジの花との“競演”が見られるこの場所は、いつしか写真愛好家らの人気スポットに。「観光客を呼ぶために始めた訳ではなかったが、喜んでくれる人たちの存在は活動の励みになった」と井上さん。住民たちは不通後も、鉄道復旧を信じて草刈りなどを続け、景観の維持に努めてきた。

 村民の願いとは異なり、村内の区間は全てバス専用道へ変わる。井上さんは「(同線の架橋である)めがね橋の上をバスが安全に走れるのか。まだ分からないことが多い」と戸惑いを見せつつも「方針が決まった以上は一日も早く復旧させてほしい。交流人口のさらなる増加につながれば」と願う。

 バスが土手の上を走る時、ツツジとともに満開の笑顔に囲まれていてほしいと願う。「これから先も美しい景観を守り、次世代につなぎたい。私たちも復興に向けてもっと頑張らないと」 (横山太郎)

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