トイレや授乳室整備…避難所に女性の視点を 運営のポイント

西日本新聞 くらし面 新西 ましほ

 熊本南部を中心に甚大な被害が広がった九州豪雨では、依然多くの人が避難を余儀なくされている。長引く避難生活は心身の負担が大きく、特に影響を受けやすい女性や子ども、高齢者への配慮が欠かせない。過去の災害では男性中心の避難所運営による課題も指摘されており、内閣府男女共同参画局は5月、女性の視点を取り入れた避難所運営のポイントなどをまとめた指針を公表した。

 今回の指針「男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン」は、防災・復興に関わる意思決定の場に女性の参画を進めることや、災害から受ける影響やニーズが性別によって違うことに配慮するよう強調。平時の備えや避難生活、復興と各段階で取り組むべきことを事例を交えて示した。

 取りまとめに関わった「減災と男女共同参画研修推進センター」(東京)の浅野幸子共同代表は「災害時には性別役割が強化される」と指摘する。避難所では「男性がリーダー、女性が炊き出しや掃除」と役割が固定されがち。女性は育児や介護を担っていることも多く、過度な負担がかかり、男性も一部の人に負担が集中する問題があった。

 意思決定の場に女性がいなければ、女性固有のニーズも反映されにくい。東日本大震災では、更衣室や授乳室がなかったり、支援物資を男性が配布するため生理用品などが受け取りにくかったりした。

 こうした中、内閣府は2013年、災害時に女性の視点に配慮する指針を初めて策定した。だが、16年の熊本地震対応状況調査によると、半数近くの自治体が1カ月以内に女性用更衣室や授乳室を整備した一方、4割は整備されないまま。災害対策本部の女性比率は県6%、市町村4%にとどまった。今回の策定に当たっては、その後に多発した水害の事例も盛り込み、より具体的な内容にした。

 浅野さんは「まずは男女共同参画部局と連携し、支援者に女性を配置して」と求める。女性は、日頃からケアを担う子どもや高齢者、障害者の必要な生活環境や物資のニーズを把握しやすい傾向にある。「女性たちの安心安全を守ることが、地域全体の支援の質を上げることになる」

 乳幼児がいる家庭などは、周囲に気兼ねして避難所にいられず、在宅避難や車中泊を選ぶこともある。指針では避難所と同様、物資や情報の提供を求めた。先進的な取り組みとして、17年の九州豪雨の際に福岡県朝倉市に開設された被災女性と子ども向け支援施設「朝倉災害母子支援センターきずな」を紹介している。

 授乳支援についても掲載。「母と子の育児支援ネットワーク」(東京)の本郷寛子代表は「母乳には赤ちゃんの免疫力を高める効果がある。継続して授乳できる環境を整えることが大切」と話す。指針では乳児用ミルクは、本人の状況や希望を聞き取った上で提供する必要があるとした。

 同団体は、授乳に関するオンライン相談窓口を開設。液体ミルクの注意点やコップでの授乳法なども知らせている。本郷さんは「災害のストレスで母乳が減ったように感じられるのは一時的で、赤ちゃんに飲ませると母乳は作られ続ける。不安があれば気軽に相談してほしい」と呼び掛けている。 (新西ましほ)

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