名物チャンポン復活ならず 筥崎宮放生会中止、ガラス細工職人途絶え

西日本新聞 ふくおか都市圏版 今井 知可子

 筥崎宮(福岡市東区)放生会のお土産として親しまれるガラス細工「チャンポン」を制作する職人が途絶え、同宮は当面、販売を見合わせることにした。ガラスの手作り品にみこが一つ一つ絵付けをし、毎年買い求める人もいる。同じく名物だった放生会おはじきは購入者が殺到してトラブルなどが起き、3年前に販売中止になった。「せめてチャンポンは、復活させたいのだが…」と同宮は苦慮している。

 チャンポンは明治晩年から放生会の露店で売り出され、名物として定着。ガラスの管に息を吹き込むと、音が「チャン」「ポン」と聞こえるとしてその名がついた。粗悪品が出回ったり、ガラスに代えてブリキ製が出回ったりしたこともあり、昭和初期にいったん姿を消す。1971(昭和46)年、当時箱崎にキャンパスがあった九州大の技官、小川勝男さんが同宮の依頼を受けて復活。チャンポンを吹く場面がテレビCMに使われたことなどから、再び人気みやげになった。

 ガラス細工の技法を受け継いだ3代目の職人、國井洋二さんが昨秋亡くなり、チャンポンを作れる人がいなくなったという。

 みこたちは絵付けの技術を忘れないように、残されたチャンポンに絵を描いては消し、練習を続けている。みこ6年目の辻璃子さん(23)は「溶いた絵の具に気泡が入らないようにするのが難しいが、描くのは好き。楽しみにしている方に、また届けられるようになれば」と話している。

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「今年はしょうがない」「大事な節目、残念」

 博多の街に秋を告げる筥崎宮放生会に、今年はにぎわいが見られない。新型コロナ感染防止のため20日、同宮は神事以外の行事中止を発表した。住民からは「山笠も放生会も今年は見られないなんて」と残念がる声が聞かれた。

 同宮によると戦時中は神事のみの開催になった年もあったが、戦後では初めてだという。「台風でも行事が中止になったことはない。無念だが、安全を最優先に考えた」と理解を求めた。同宮の楼門前や鳥居そばには同日、放生会行事の中止を告げる看板が設置された。露店は出ないが、参拝客が求める名物の新しょうがは販売されるという。

 同宮近くに住み、正月と放生会には参拝を欠かさないという林雪嶺さん(83)はこの日、外出の際に拝殿に手を合わせた。「コロナで今年いっぱいは行事は無理かなと思っていた。しょうがないね」と話した。箱崎育ちで現在も箱崎を創作拠点にする抽象画家の銀ソーダさん(25)は「放生会を過ごさないと夏が終わった気がしないくらい、暮らしに染みついた行事。大事な節目だったんだなと改めて思う」と残念がった。 (今井知可子)

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