「一辺10センチ」学生手作り衛星再始動 九工大、コロナで開発中断

西日本新聞 社会面 竹次 稔

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中断していた、九州工業大(北九州市戸畑区)の学生による手作りの超小型人工衛星「ふたば」の開発プロジェクトが今月、ようやく再開した。主体は4年生までの学部生。講義を受けた後の時間を使うなどして、これまで約40人が参画してきた。2017年1月の開発スタートから約3年半。本年度中に完成させ、来年度以降の打ち上げを目指している。

 学部生中心の人工衛星開発プロジェクトは14~16年にも行われた。第2弾となる今回の後継機は、宇宙空間の寒暖差で生じる電子機器への異常を調べることが主なミッション。大きさは一辺10センチほどの立方体、重さ約1キロという。

 衛星が地上とやりとりするための「通信系」、衛星の内部動作に必要な「電源系」など7分野に分かれて研究を進め、現在はその成果を持ち寄ったモデル機を作っている。

 地上から約420キロの高さを回る衛星は、太陽との距離で外側の温度差が最大100度ほど生じる。電子機器内では一般的に、ハンダ付けで部品を基板に固定しているが、宇宙での温度差でハンダ表面にひげ状の突起物が発生する現象が起き、電子回路に異常を来すことが知られている。

 地上で使っている電子機器を宇宙でも使うためには、その発生メカニズムの解明が必要だ。そこで衛星内にカメラなどを内蔵し、アマチュア無線で衛星とやりとりし、地上で約1年間観察する。衛星の向きを制御する機能も確かめる。

 完成機は宇宙航空研究開発機構(JAXA)などに引き渡し、国際宇宙ステーション向けに物資などを運ぶ無人ロケットに搭載後、宇宙放出される。

 約150万円の製作費だけでなく、打ち上げ費用も必要。昨秋にはクラウドファンディングで約200万円を調達するなど多くの支援を受けてきた。

 プロジェクトに中心的に携わる同大4年の大谷将寿(ゆきひさ)さん(21)は「学生が協力してようやくここまで来た。政府などへの打ち上げ申請手続きもこなし、ぜひとも成功させたい」と意気込んでいる。 (竹次稔)

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