「ポスト文在寅」競う2人の李氏 知日派失速、対日強硬派が追い上げ

西日本新聞 国際面 池田 郷

 【ソウル池田郷】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の任期が2年を切り、2022年3月の次期大統領選をにらんだ与党「共に民主党」内の前哨戦が活発化しつつある。知日派の李洛淵(イ・ナギョン)前首相が有力候補として各種世論調査の首位を走るが、ここにきて歯に衣(きぬ)着せぬ発言で知られる対日強硬派の李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事が支持を伸ばす。最大野党「未来統合党」は有力候補が見当たらず、焦りを募らせている。

 世論調査会社「リアルメーター」が20日発表した次期大統領にふさわしい人物を尋ねた調査で、首位の李前首相が23・3%だったのに対し、李知事が18・7%で続いた。4月末に約25ポイントあった両氏の差は大幅に縮まり、韓国メディアは「誤差の範囲」と報じた。

 李前首相の失速は文大統領の支持率低下と軌を一にする。李前首相は4月の総選挙で与党の選挙対策委員長を務め圧勝に導いた。だが世論の関心が高い不動産価格高騰の抑制政策は奏功せず、自殺したソウル市長のセクハラ疑惑が拡大するなど与党のマイナス材料が噴出。8月下旬の党代表選に出馬する李前首相への風当たりも強まった。物言いが慎重な政治姿勢に「胆力や面白みを欠く」(韓国紙記者)との声もくすぶる。

 李知事は自身の選挙を巡り公選法違反罪などに問われ、二審で有罪判決を受けたが、16日の最高裁判決で事実上無罪と判断され、追い風が吹く。貧しい家庭に育ち小学校卒業後に工場労働者となり、後に司法試験に合格した苦労人。熱烈な支持者がいる半面、元慰安婦問題を巡る日韓合意の無効化や日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)撤回を主張するなど過激な発言を連発し「韓国のトランプ」の異名もある。

 両氏とも党内では少数派だ。今後は文氏に近い主流派の「親文派」の動きが鍵を握る。党代表選で当選が有力視される李前首相は、以降の党運営を通じて「ポスト文氏」としての手腕が瀬踏みされることになる。

 日本外交筋には韓国紙の東京特派員経験者で日本の政界に精通する李前首相への期待感が高く、接点の乏しい李知事への警戒感が強い。ただ、文政権に近い関係者は「李前首相は世論に親日派のレッテルを貼られることを警戒して、関係改善への動きはむしろ取りにくくなる」と指摘する。

 最大野党は黄教安(ファン・ギョアン)元首相ら幹部が総選挙で相次ぎ落選し、大統領候補の選考は難航しそうだ。支持層には文政権と対決姿勢を強める尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長の擁立を望む声もあるが、尹氏が同党から出馬する可能性は低いとの見方が一般的だ。

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