「筑豊文庫」の雰囲気再現 上野英信さん資料室が直方市立図書館に

西日本新聞 ふくおか版 安部 裕視

絶筆のメモも展示

 記録文学作家の上野英信さん(1923~87)が鞍手町に開いた「筑豊文庫」を再現したコーナーが21日、福岡県直方市立図書館内にオープンした。「筑豊文庫資料室」との看板が掛けられ、開設式で、英信さんの長男朱(あかし)さん(63)は「単なる文学者の展示場でなく、議論を戦わせる場として育ってほしい」と述べた。

 筑豊文庫は英信さんが64年に炭鉱長屋を買い取って開いた住居兼活動拠点。炭鉱で働いた経験から「炭鉱労働者の自立と解放」を理想に掲げ、炭鉱離職者らの生活相談に応じ、全国から集まった作家やジャーナリストらと議論を重ねた。

 朱さんから書籍や資料の寄贈を受けた市が2017年から整理やデジタル保存を進めてきた。これまで内容が判明した資料は約5400件。企業の帳簿類や従業員の解雇を巡る係争資料、労働組合のビラ、英信さんが炭鉱労働者から聞き取ったテープなどもある。

 分類や分析に当たった早大の佐川享平助教(日本近現代史)は「膨大な数で、まだ道半ば。資料の一つ一つに持ち寄った人々の思いが込められている」と話す。個人情報が含まれていることから、資料の一般公開はしない。

 資料室には、書籍約500点のほか、英信さん直筆の筑豊文庫創立宣言文や絶筆となったメモ(いずれも複製)、内部のイメージ図などを展示。朱さんが「多くの人の涙と酒とたばこが染みついている」というテーブルを再現し、来館者が利用できる。

(安部裕視)

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