不通128キロどう復旧?JR九州、豪雨で被害拡大 肥薩線と久大線

西日本新聞 総合面 布谷 真基

 九州各地を襲った豪雨で、JR九州の肥薩線と久大線は計3鉄橋が流失するなど特に大きな被害を受けた。復旧の見通しが立たない肥薩線の八代-吉松間、久大線の豊後森-庄内間は計128・1キロに及ぶ。赤字路線は災害を契機に廃線やバス転換となる先例も多い。交通網をどのように維持するのか。復旧に向けた議論は難航も予想される。

 21日に新たに発表した分を加えたJR九州の被害17路線730カ所のうち、肥薩線は450カ所、久大線は145カ所に上り、両線で8割を超える。

 鉄道事業本部の前川聡幸副本部長は13日の記者会見で、両線の復旧について「まったくの未定。鉄橋を直すにしても費用もまだ分からない」と述べ、原型復旧を進めるかどうか明言しなかった。今後、沿線自治体と協議を進めるという。

 「日本三大車窓」がある肥薩線、全国的に有名な由布院温泉を通る久大線は、JR九州が観光路線と位置づける重要路線でもある。

 両線の復旧を進める上で活用が期待されるのは、2018年に施行された改正鉄道軌道整備法だ。JR九州のような黒字企業でも、赤字路線であれば災害復旧事業費補助の対象となり、国と自治体から復旧費の最大4分の1ずつ補助を受けられるようになった。16年4月の熊本地震で土砂が流入するなど寸断された豊肥線は、この枠組みを使い復旧。8月に4年4カ月ぶりに全線再開する。

 JR九州が公表した線区別収支(18年度)では、肥薩線八代-人吉間で5億7300万円、久大線日田-由布院間も2億5400万円の営業赤字と収支は厳しい。補助要件に該当するとみられるが、負担が生じる沿線自治体の同意を得られるかなどが課題となる。

 一方、鉄道以外の復旧事例もある。17年7月の九州豪雨で被災した日田彦山線の添田-夜明間は、3年に及ぶ沿線自治体との協議の末、鉄道ではなくバス高速輸送システム(BRT)による復旧で最終合意した。

 九州以外でも、11年の豪雨で鉄橋が流失するなどしたJR只見線は、不通区間の鉄道施設や土地を地元の福島県が所有し、JR東日本が運行を担う「上下分離方式」で復旧することで合意。21年度中に工事が完了する見通しになっている。

 東日本大震災で被災したJR東日本の大船渡線、気仙沼線は復旧費が多額に上ることからBRTを導入。15年に高潮被害を受けたJR北海道の日高線はバス転換が決まった。

 新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛で鉄道利用者が大幅に減り、経営環境が不透明感を増す中で見舞われた豪雨。地元住民の足であるとともに、九州の主要観光ルートでもある鉄路を地域の中でどのように位置づけるか。自治体を巻き込んだ議論に注目が集まる。 (布谷真基)

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