福岡の「稚加榮」名物ランチ再開へ 人手不足改善、コロナ禍で前倒し

西日本新聞 ふくおか版 木村 貴之

 福岡市中央区大名の料亭「稚加榮(ちかえ)」が、2018年2月から休止していたサービスランチを8月1日に再開することが分かった。45年間にわたり市民に親しまれながら、深刻な人手不足のしわ寄せを受けた名物の味。人材確保に努力し、新型コロナウイルス禍を巡る動きも影響し、2年半ぶりに復活することになった。

 料亭は1961年、筑豊の炭鉱主・中島徳松(1875~1951)の別邸を改装して創業した。当初は水炊きなど鳥料理を目玉にしたが、73年の増改築で大型いけすを導入したのを機に魚料理中心の料亭へと転換。これに合わせてサービスランチを始め、77年に北九州市の小倉店も続いた。

 活魚や天ぷらを中心にした会席料理風の昼定食。「料亭をもっと身近に」を合言葉に価格を夜間の半値以下に設定。1日400食の数量限定で提供を始めたところ大ヒットし、昼時に行列ができる料亭として定着した。

 ところが数年前から全国的な人手不足に陥り、その荒波を稚加榮も受けることに。福岡本店は約50人いた調理師が30人にまで激減し、ランチ提供を断念した。約1年後の19年には小倉店も休止。「1500円で料亭気分が味わえたのに」「寂しすぎる」。市民から惜しむ声が相次いだ-。

 休止はしたものの、直後から再開を目指していたという。本店では昨年、引退者の補充を含め、35人態勢にまで回復。東京五輪・パラリンピック後となる9月初旬をめどに再開準備を進めていたが、コロナで流れが変わった。五輪は延期になり、博多どんたく港まつりや博多祇園山笠など地元の祭りも軒並み中止や延期に。「戦後では前例がないほど寂しい福岡の夏。少しでも活気づけたい」と再開の1カ月前倒しを決めた。小倉店は当面休止を続ける。

 新ランチは1980円。以前より500円近い値上げとなるが、みそ汁はワタリガニ入り、デザートにわらび餅が付く。当面は全約140席を70席程度に制限し、1日220~230食を提供する。昼営業は平日が午前11時半~午後3時、土・日曜は午後2時まで。

 稚加榮の田原義太慶(よしたか)社長は「サービスランチは創業者が築いたもてなしの原点。今後も稚加榮スタイルを貫き、困難を乗り越えたい」と話している。(木村貴之)

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