タイが非常事態また延長 集会は解禁…不満抑える狙い?

西日本新聞 国際面 川合 秀紀

 【バンコク川合秀紀】タイ政府は22日、新型コロナウイルス対策として3月下旬に発令し延長を繰り返している非常事態宣言について、今月末の期限を8月末まで延長する方針を決めた。延長は4回目。同時に、宣言が定める集会禁止条項を今後は行使しない方針も表明した。ここに来て学生らの反政権集会が再び拡大しているため、強権を維持しつつ不満を和らげる狙いがあるとみられる。

 近く閣議で正式決定する。市中感染は約2カ月確認されず、経済活動はほぼ解禁済み。政府の新型コロナウイルス感染症対策センターは22日、国境を接するミャンマーとカンボジア、ラオスの労働者の入国を隔離措置付きで認める方針も決定。同センターの報道官は「世界的な感染拡大が続き入国がさらに緩和されるため、非常事態宣言の延長が必要だ」と述べた。

 宣言下では、感染防止対策や治安維持など幅広い権限がプラユット首相に集まる仕組み。集会については「密集状態と治安の不安定化を誘発する」と罰則付きで禁止し、表現の自由を侵害するとして野党などが宣言の失効を求めてきた。

 3月初めには学生主導の反政権集会やデモが各地で拡大したが、感染者増加と宣言発令により下火になった。だが政府の強権に反発する学生らが最近、再び活動を活発化。18日にバンコクで数千人規模の集会を開いて以降、首相退陣や憲法改正などを求める学生グループの集会が全土で相次いで開催、企画されている。

 同センターの報道官は「宣言は感染拡大防止が目的であり、集会(の権利)とは関係ない」と解禁の理由を説明。ただ当局はこれまで、複数の活動家を集会禁止違反の疑いで一時拘束。「虚偽または人々を不安にさせる情報の流布」は引き続き禁じられ、表現の自由が制限される恐れは残る。

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