若者が運ぶ「第2波」、福岡で感染急増 高齢者に拡大なら病床逼迫も

西日本新聞 一面 斉藤 幸奈 山下 真

 福岡県では22日、前日に引き続き4月の流行初期を上回る新型コロナウイルスの新規感染者を確認した。街には不安の声も広がるが、どれほど深刻な状況と見るべきなのか。4月と比べると重症者は少なく、受け入れ可能な病床数は増え、検査数も拡充するなど、態勢は強化されている。重症化しやすい高齢者らへの感染防止が課題だ。4連休を控え、専門家は「冷静に3密を避ける行動を徹底してほしい」と呼び掛ける。

陽性率低下

 福岡県内でこれまでに確認された1日の感染者数は4月11日の43人が最多だった。いったん沈静化したものの、7月21日は53人、22日は61人となった。明らかに増加傾向にあるが、「検査の実施件数が増えており、感染者数だけを単純に比べられない」と同県新型コロナウイルス感染症対策本部の担当者は説明する。

 県によると、PCR検査などの検査態勢が増強された結果、4月11日分の検査数は364件だったのに対し、7月21日分は1332件で3・6倍に増えた。一方で患者数の増加は1・2倍で、検査状況と比べると伸び率は大きくない。実際、検査の陽性率は4月11日分の11・8%に対し、7月21日分は4%にとどまる。

無症状多く

 今回の感染拡大の特徴は若い世代が多いことだ。接待を伴う飲食店を舞台にしたクラスター(感染者集団)の発生も各地で確認されている。県内でも21日の新規感染者53人のうち20~30代が64%を占め、60代以上は1人だった。無症状や軽症の人が多い。

 「若い世代が中心なので重症者が少なく、現時点で医療体制が逼迫(ひっぱく)しているわけではない」。大阪大の朝野和典教授(感染制御学)は福岡の状況を分析する。

 医療機関の備えは強化されている。緊急事態宣言が出された4月7日、県内で受け入れに協力する医療機関の病床は218床だったが、現在は490床まで拡大した。無症状や軽症者向けの宿泊施設も450室以上を確保している。

 もちろん、安心していいわけではない。感染者が増えていけば、当然高齢者の感染のリスクも高まる。重症化しやすい高齢者に感染が広がれば、一気に病床が逼迫する恐れもある。朝野教授は「高齢者と同居している若い人や医療、介護の現場で働く人は特に気をつけて。自分の行動が誰かの命を脅かす危険があると自覚してほしい」と訴える。

抑止と経済

 「第2波が来たと言わざるを得ない」。福岡市の高島宗一郎市長は22日の記者会見でそう語る一方、「外に出るから、移動するから感染するわけではない」として外出自粛要請の必要性は否定。「社会活動を止めるわけにはいかない。失業率と自殺者数には相関関係があり、経済か命か、ではなく命と命の問題だ。アクセルとブレーキの両方を踏まなければならないという葛藤がある」と述べた。

 治療薬やワクチンの開発には時間がかかる。感染症対策と社会経済活動の両立をいかに図るか、試行錯誤は続く。九州大の柳雄介教授(ウイルス学)は「医療崩壊を防ぐためには、行政は地域の実情に応じて臨機応変に判断していかなければならない」とする。

 私たちにできることは何か。社会活動を維持しながら感染拡大をくい止めるために「改めてマスクの着用の徹底が大事」とした上で、「あまり人とすれ違わない道では一時的にはずすなど、感染対策をしながら暑い夏を乗り越える工夫をしてほしい」と話した。

(斉藤幸奈、山下真)

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