これはまずい空港検疫 藤崎真二

西日本新聞 オピニオン面 藤崎 真二

 「日本の空港検疫はこのままでは絶対にまずいよ」

 フランスで働く知人が先日、一時帰国した。羽田空港新型コロナウイルスの検疫を経験し、諦めと同情が入り交じった様子でこう話した。

 現在、入国後は自宅やホテルで14日間、待機(自主的隔離)を求められる。空港からの移動は公共交通機関を控え、家族の車かレンタカーなどを手配する必要がある。

 彼は午後2時半ごろ着陸。先着便の客で混んでいたため30分ほど機内で待った。その後、待ち合いエリアで説明を受け、PCR検査となった。乗客は約50人。ブース5カ所のうち3カ所のみ利用した。

 検査は午後3時半に終了。ここで判定結果を待つか、政府指定のホテルに移動するかの選択を迫られた。驚いたことに、判定がこの日に出るかどうか分からないとも告げられた。ホテルに行くと2泊3日滞在してもらうという。

 検査した人数と検査体制を勘案すれば、いつ判明するかは分かるだろうに。さらに不可解なのは、家族が迎えに来れば判明前でも帰宅ができ、後日連絡してもらえるのに、ホテルに行くと3日間缶詰めということだ。滞在費は国の負担だが、そこで14日間過ごすと残りは自己負担になる。

 現場の職員は質問に何も答えられなかった。「『法令で定められたルールに従っているだけなので』と申し訳なさそうに言うだけだった」

 説明がないのはつらい。必要な情報が共有されていないとも感じた。恐らく現場の声を中央に伝え、改善を図るような仕組みがないのだろう。

 彼の話を確認しようと担当係に取材した。ホテルに滞在してもらうのは、当日結果を待つ人を優先できるようにするためという。問題は検査体制の不十分さにあった。

 当初から指摘されている問題だ。既に、1時間で判定できる方法や唾液による検査キットもある。厚生労働省の担当部署は「導入を検討中」というが、いつになるのか。

 コロナとはしばらく共存することになる。ならば防疫の取り組みも持続性が求められる。現場の負担軽減や十分な説明がもっと必要だろう。

 結局、彼は午後6時半に陰性と分かり、レンタカーで千葉県内の自宅に戻った。

 さらに聞けば、検疫の説明は日本語のみ。書類は、経由地の英国ではスマホなどによるオンライン記入だったのに対し、羽田では手書き。電話番号や滞在先など重要情報を手入力してデータ化するのかと思うと、これまた職員がかわいそうになったという。

 日本の「空の玄関」のお寒い現実である。 (論説委員)

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