夫に足りない「共感」と「家事参画」 産婦人科医が語る産後の妻

西日本新聞 くらし面 下崎 千加

 子どもを産んだ後、妻が人が変わったようになった。夫婦仲が急激に冷え込んだ。そう感じている男性たちに妻の体の変化や精神状態について知ってもらおうと、福岡市中央区の産婦人科医、東野純彦(とうのあつひこ)さん(63)が「知っておくべき 産後の妻のこと」を自費出版した。ホルモン量などの生理的変化だけでなく、育児や家事を巡る女性への精神的重圧にも触れ「まず夫自身が変わり、妻を笑顔にしてほしい」と呼び掛ける。

 東野さんは年間1100件前後の分娩(ぶんべん)を手がける東野産婦人科の院長。約20年前、お産を担当した女性が半年後に自殺した。単身赴任中の夫に頼れず育児を1人で担った末のことだった。自責の念に駆られ、男性の育児参加を促そうと、妊婦の夫を対象にした講座「父親学級」を開いてきた。本はそこで話している内容を中心にまとめた。

 妊娠中から産後1年未満までの女性の死因トップは自殺で、3分の1を占める。日本の男性の育児・家事時間と、長時間労働は世界最低ランク。本ではこうしたデータを示しつつ、ホルモンの増減で、産後の女性は不眠や気分が落ち込むなどのうつ状態に陥ったり、夫など子ども以外の人に攻撃的になったりしやすいと指摘。「仕事を休んでいるのだから育児も家事も立派にこなすべき」といった社会的偏見がさらに女性を追い込む構図を説明している。

 2人でする家事を「手伝おうか」と言う夫、「やっぱりママがいいんだね」と育児を丸投げする夫など、妻をいら立たせる七つの事例や、東野さん自身が家庭で感じた妻との考え方のギャップも紹介。「『女性だから家事が好き、育児が得意』は男性側の勝手な思い込み。夫に足りないのは妻への共感と家事への参画。妻の精神的健康を保つことを心掛けてほしい」と提案している。

 幻冬舎メディアコンサルティング刊、880円。インターネット書店や東野産婦人科=092(715)3536=で購入できる。

 (下崎千加)

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