「ポスト安倍」踏み込む?菅氏 テレビや講演、選挙応援…露出増やす

西日本新聞 総合面 河合 仁志

 「ポスト安倍」候補の一人と目される菅義偉官房長官が露出を増やしている。7月から、新型コロナウイルス感染症の影響で控えていたテレビ出演や講演活動、選挙応援を再開。政府の意図や実績をアピールしつつ、時にぐっと踏み込んだ戦術的な発言も放つ。安倍晋三首相周辺との確執も取り沙汰され、次の人事での処遇も焦点となる中、幅広い人脈を誇る実力者の一挙手一投足に党内外が目を凝らす。

 7月中旬。菅氏は心を許す自民党議員に向き合い、「情報が、国民に正しく伝わってないんだよな」とこぼした。政府の新型コロナ対応に対する世論の評価は厳しく、落ち込んだ内閣支持率も回復の兆しは見えない。連日、スポークスマンとして記者会見に臨む菅氏の不満は、焦りの裏返しでもある。

 いかに停滞局面を転換するか。菅氏が選んだ突破口は、自らの知名度を前面に出して聴衆らに語り掛けることだった。

 東京都議の補欠選挙に応援に入り街頭でマイクを握ったのを皮切りに、視察で訪れた北海道では地元の経営者らを前に講演し、テレビ番組での発信にも余念がない。「記者会見では得られない手応えを覚えているようだ」と側近。独特の政局観に基づく「仕掛け」なのか、物議を醸す発言もちりばめる。

 7月11日の講演では、ウイルス感染が再拡大している現状を「圧倒的に『東京問題』と言っても過言ではない」と表現し、小池百合子東京都知事の対応を暗に攻撃した。と思えば、翌週には唐突に、それまで慎重だった新型コロナウイルス特別措置法の改正に言及。相次ぐ「とんがった」主張の背後には、昨秋から陰りが見えていた政権内での存在感を再浮揚させたい本音が潜む。

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 注目のやりとりがあったのは、22日の会見時だ。来年9月に党総裁任期が切れる首相が、月刊誌のインタビューで「(菅氏が『ポスト安倍』の)有力な候補者の一人であることは間違いない」と述べたことへの感想を問われた菅氏。だが、表情は常と変わらずほとんど動かなかった。「首相の任期はまだ1年以上ある。今は目前の課題に全力で取り組んでいくことが極めて重要だ」

 新型コロナ対応では、首相最側近の官邸官僚との間で意見の隔たりが表面化し、互いに不信感を募らせているとされる。政権中枢に生じたほころびは、秋に予定される党役員人事と内閣改造にも影を落とす。

 菅氏をひそかに支える無派閥議員は30人規模に達し、自身は重鎮の二階俊博幹事長とも良好な関係。今も政界に隠然と力を残す古賀誠元幹事長からは、「令和」を発表した時の菅氏を模した博多人形を記念に贈られるほど信頼が厚い。

 首相の座に関し、判で押したように「考えたことがない」と繰り返してきたものの、時運が巡ってきた暁には動くのか-。菅氏は最近、意味深長なフレーズを多用する。「いつの時代も、勝てそうな人のところにみんなが集まるものだ」  (河合仁志)

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