ごみ搬出、家畜の移動…被災地の自衛隊 拡大する役割

法改正、新組織 求める声も

 新型コロナウイルス感染拡大の影響などで熊本県南部の豪雨被災地の災害ボランティアが不足する中、災害派遣された自衛隊の活動範囲が広がっている。人命救助や、道路に堆積した流木や泥の撤去など従来の任務に加え、個人の敷地にたまった災害ごみの搬出や家畜の移動といった作業にも積極的に取り組む。自衛隊に求められる役割が増す現状を受け、専門家からは自衛隊法などの改正や組織の新設などの議論を求める声も上がる。

 「ここにしかいない、養豚業にとって価値の高いものだったので受けた」。河野太郎防衛相は17日の閣議後記者会見で、孤立した熊本県球磨村の養豚場から貴重とされるブランド豚の種豚27頭を陸上自衛隊のヘリコプターで輸送したと発表した。県の要請を受けた措置といい、災害派遣の活動としては異例だ。

 災害派遣された自衛隊の活動範囲について、防衛省は「自衛隊でなければできないかどうか」といった3要件(緊急性、公共性、非代替性)の原則を満たす必要があると説明する。だが今回の豪雨被災地では種豚の輸送のほかにも、民家の庭などから災害ごみを搬出するなど、3要件に合致するか微妙な活動も請け負っている。

 背景にあるのは、住民の高齢化や新型コロナへの配慮だ。働き手世代の人手が絶対的に不足しているものの、感染防止の観点から災害ボランティアの募集を県内在住者に制限する市町村が多く、復旧作業がはかどらない地域は多い。防衛省幹部によると「現場の隊員からも『災害派遣でできる活動をもっと広げられないか』との声が上がっている」という。

 昨年秋に台風15号が襲った千葉県では、自衛隊員が民家の屋根に上ってブルーシートを張る作業に当たった。3要件に当てはまらない可能性もあったが、同県の防災担当者は「高齢者世帯など自分で修復できない家に限り自衛隊にお願いした」と話す。

 活動範囲拡大の要請に自衛隊はどう応えるべきか。日本大危機管理学部の福田充教授は、米国では軍隊や警察とは別に、連邦緊急事態管理庁(FEMA)といった災害などに対応する実動部隊があり、あらゆる危機の初動に対応していると指摘。「相次ぐ災害に対応するために、法改正して自衛隊の災害派遣の活動内容を広げるか、新たな専門組織をつくるか。根本的な議論をするべき時期にきている」と問題提起する。 (塩入雄一郎)

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