洋上風力発電 九州の成長産業に育てよ

西日本新聞 オピニオン面

 地球温暖化対策で、再生可能エネルギーの拡大がますます重要になっている。海に囲まれた日本では特に洋上風力発電への期待が大きい。九州の周囲には発電に適した海域が広がる。時代の要請に応え、洋上風力を地域の成長産業に育てたい。

 再生エネの主力電源化を掲げてきた政府も、ようやく動きだした。官民協議会で洋上風力の産業競争力強化の議論が始まった。送電網整備などの課題があり、年内に戦略を策定する。

 この初会合で梶山弘志経済産業相は洋上風力の将来像について「2040年に3千万キロワットを超える規模」との目安を示した。民間投資を促すには国策としての中長期目標が不可欠だ。新たなエネルギー基本計画に意欲的な数字を盛り込んでほしい。

 秋田県や千葉県でも大型の洋上風力開発計画が進行中で、大手電力などが事業化に名乗りを上げている。今後、官民の動きがさらに活発化しそうだ。

 国内の事業化では九州が一歩リードしている。まずはこれらを着実に進めたい。

 トップランナーは、北九州市若松区沖の港湾区域で進む国内初の大規模プロジェクトだ。土台を海底に固定する「着床式」の大型風車数十基を据える計画で、九州電力の子会社などが22年度着工へ準備を急ぐ。

 昨年暮れには、長崎県五島市沖が洋上風力発電普及法に基づく促進区域の第1号に指定された。出力2千キロワットの風車1基が運転している海域の出力を10倍強に増強する計画という。国による事業者の公募が始まった。

 水深が深い五島市沖では海面に浮いた「浮体式」の風車が使われる。着床式と浮体式の2方式が九州で事業化されれば、関連技術やノウハウが蓄積でき、地場産業化への弾みもつく。

 洋上風力の設備には1万~2万点の部品があり、自動車産業に匹敵するとされるほど裾野が広い。部品製造や風車の組み立て、据え付けが終わっても、運転やメンテナンスの基地や人材が必要になる。北九州市は若松区の埋め立て地を洋上風力産業の拠点に整備する戦略を描く。九州にある鉄鋼や造船などの産業基盤を活用できれば、地域経済にも追い風になろう。

 洋上風力の導入は欧州が先行し中国が猛追する構図だ。台湾や韓国でもこれから建設が本格化していく。国際エネルギー機関によると、今後20年で洋上風力は15倍に増え、100兆円産業になる可能性がある。有望な市場を見逃す手はない。

 国内メーカーは大型風車の製造から相次ぎ撤退したが、国内市場の成長が見込めるなら再参入する余地もあるはずだ。その拠点をぜひ九州に誘致したい。

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