香港立法会選挙 中国は不当な介入やめよ

西日本新聞 オピニオン面

 香港で9月の立法会(議会)選挙に向け、立候補の手続きが進む。反体制的な動きを取り締まるため6月末に施行した国家安全維持法(国安法)を盾に、中国、香港政府が自由と民主主義の維持を求める民主派に対する圧力を強めている。

 懸念された国安法の恣意(しい)的な運用である。さらなる不当な介入は決してすべきではない。

 民主派は今回の選挙で議席の過半数獲得を目指しており、乱立による共倒れを防ぐために候補者を絞る予備選を実施した。これに、中国政府当局は国安法の国家政権転覆罪の疑いがあると強く警告した。

 立法会の議席は一般市民による直接選挙枠と職能代表枠に半数ずつ割り当てられている。後者は中国と経済的関係の深い業界団体代表が投票権を持ち、選挙そのものが親中派に有利な仕組みになっている。にもかかわらず、予備選という選挙戦略まで犯罪と見なすのは、民主派への威嚇にほかならない。

 さらに、立候補者には「香港は中国の不可分の一部」と定めた香港基本法(憲法に相当)の順守などを記した確認書への署名を求めている。国安法で義務化された「踏み絵」である。

 香港では国安法施行後、「香港独立」と書いた旗を掲げた市民が摘発され、予備選の電子投票システムを担う事務所を事前に警察が捜索した。抗議集会では民主派議員も逮捕された。

 こうした締め付けの中、実施された予備選で、投票者数が主催者目標の17万人を大きく上回る61万人に達した点は注目に値する。自由と民主主義を守りたいという切実な意思の表れではないか。習近平指導部は香港への介入を強めて根強い反発を招いている現実を直視すべきだ。

 英国からの返還に伴い、香港の高度な自治を認めた一国二制度について、中国は国安法施行により「土台は強固になった」と主張する。だが、制度の形骸化は明らかであり、国際社会の視線は厳しくなっている。

 特に、米国は中国共産党の一党独裁体制を問題視し、経済・通信技術から感染症対策、香港や少数民族への人権抑圧へと批判対象を広げ、一部中国総領事館閉鎖を命じる事態に至った。

 米中対立の最前線である香港で中国が抑圧を一段と強めれば不信を高めるだけである。英国も「国際社会への義務に反する」と批判している。もはや「香港は内政問題」との中国の主張は通用しない。

 今後、立法会選挙における民主派の立候補取り消しや当選後の議員資格剥奪が危惧されている。中国がそうした民意を踏みにじる暴挙に出ることを国際社会は許してはならない。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ