塩田新知事、馬毛島どう向き合う 米軍機訓練移転 賛否両派働きかけ

西日本新聞 総合面 上野 和重 河野 大介

 鹿児島県知事選(今月12日投開票)で初当選した塩田康一氏(54)が28日、知事に就任した。県政課題の一つが馬毛島(西之表市)への米軍機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)移転問題。自衛隊基地整備を目指す国による馬毛島の買い取りが進む中、島の約12キロ東にある種子島では、騒音や安全性への懸念と、過疎化に悩む地域への経済効果などの期待が交錯する。思惑が絡む国策にどう向き合うか、新知事の手腕が問われる。

 「国の考え方や、地元住民と自治体の考えを聞いて調整を図りたい」。知事は28日の就任会見で、移転問題への対応を問われ、こう語った。

 2日前の26日、西之表市であった「馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会」の総会。防衛省が港湾施設建設のために馬毛島東岸で計画する海上ボーリング調査を批判する声が上がった。「基地建設への具体的な作業の第一歩。何としても阻止したい」

 海上ボーリング調査を県に申請するには、地元漁協の同意や市長の意見書提出が必要で、法に基づき知事が許可するかどうか判断する。防衛省は漁協への説明を始めている。

 連絡会の総会では、人口1万5千人ほどの同市で、6月末までに集めた署名4927筆を添え、知事へ訓練移転反対を早急に申し入れることなどを決めた。山内光典事務局長(69)は「塩田氏は種子島、屋久島の観光振興を掲げている。訓練移転は反対してくれるはずだ」と期待する。

 移転推進の住民グループも活発に動く。昨年12月発足の「馬毛島の自衛隊・FCLP訓練を支援する市民の会」は、約2500筆の署名を集め、国による住民説明会開催を要望。杉為昭事務局長(53)は基地関連の交付金や、自衛隊員や家族の転入に伴う地域活性化を期待する。「早めに交渉のテーブルに着き、メリットを最大限に、デメリットを最小限にしてほしい」

 過去最多の7人が乱立した知事選は事実上、塩田氏と前職の三反園訓(みたぞのさとし)氏(62)、元職の伊藤祐一郎氏(72)の三つどもえの争いとなった。自民は三反園氏を推薦し、実現しなかったが、菅義偉官房長官や河野太郎防衛相の鹿児島入りも予定した。ある政府関係者は「馬毛島の計画の白紙撤回を公約している元職の当選を阻止したかった」と打ち明ける。

 塩田知事は訓練移転を含む国の馬毛島の計画について、賛否を明らかにしていない。住民グループが知事への働き掛けを強める動きを見せる中、28日の会見ではこう語った。「国の安全保障政策、西之表市だけではない地元の意見を総合的に考えていきたい」 (上野和重、河野大介)

【ワードBOX】馬毛島

 面積は820ヘクタール。1980年に無人島になり、島内には固有種のマゲシカが生息する。西之表市によると、防衛省は島の83%を取得。地上の滑走路を空母の甲板に見立て、離着陸を繰り返す、米軍空母艦載機の陸上空母離着陸訓練(FCLP)移転候補地。厚木基地(神奈川県)から岩国基地(山口県)への移駐が2018年に完了した米軍空母艦載機が、現在は硫黄島(東京都)でFCLPを実施しており、政府は馬毛島に自衛隊基地を整備した上での移転計画を進めている。

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