福岡ミュージックマンス中止 コロナ超え特設動画サイト、世界に発信

西日本新聞 加茂川 雅仁

 毎年9月に福岡市を中心に開催される音楽の祭典「福岡ミュージックマンス」が、コロナ禍で全面中止されることが決まった。多くのミュージシャンを輩出してきた「音楽都市」の象徴として、約26万人を動員するまでに成長したイベントだけに、影響は大きい。そこで主催者側は、演奏動画を特設ウェブサイトで1カ月間、毎日配信するプロジェクトを始動。福岡から音楽を世界に発信するチャンスに変えようと奮闘している。

 「マンス」は9月の毎週末に行われる五つのライブで構成。福岡県糸島市のサンセットライブ(芥屋海水浴場)を皮切りに、福岡市の中洲ジャズ(博多区中洲周辺)、九州ゴスペルフェスティバル(JR博多駅周辺)、福岡アジアンピックス(博多区のキャナルシティ博多)、ミュージックシティ天神(中央区天神周辺)で、国内外のプロ、アマチュアミュージシャンが参加する。サンセット以外は入場無料だ。

 元々は個別のライブだったが、音楽プロデューサー深町健二郎さん(58)が呼びかけ、福岡市の支援も得て2014年に「マンス」が誕生した。一体的にアピールすることで動員数が増え、19年は計約26万人、市内の経済波及効果は約35億円(市試算)に上る。深町さんによると、これだけの規模で開催されるイベントは「世界でも異例」で、海外の音楽関係者からも驚かれるという。

約10万人が詰めかけたミュージックシティ天神=2018年9月、福岡市役所前広場

 深町さんは「マンス」の総合プロデューサーとして、それぞれの主催者と話し合ってきたが、今年は出演者や観客の安全を確保できないと判断し、全面中止を決定。それでも「何かできることはないか」と探り続け、動画配信に挑むことになった。プロジェクトは、事を起こすという意味で「MUSIC ACTION FUKUOKA」と名付けた。

 福岡市では1970年代のチューリップ、海援隊、甲斐バンド、長渕剛などのフォーク世代に始まり、サンハウス、ザ・ロッカーズなどの「めんたいロック」、近年はMISIA、yui、手嶌葵など多くのミュージシャンが育ち、世に送り出してきた。このため行政も「音楽産業」の育成に目を向けており、市は関連事業者へのコロナ支援策として、ライブハウスなどの映像配信機材の整備費用を最大50万円補助。約150カ所が導入した。

 しかし、個別に配信するだけでは視聴者を増やすのは難しい。そこで「マンス」が旗振り役となり、一体的に配信するサイトを制作。五つのイベントや市内のライブハウスなどが毎日、生演奏や過去の映像などを配信することにした。深町さんは「福岡の音楽産業を発展させるためにも、動画配信は今やっておくべきことだ」と語る。

 今回のプロジェクトは、実際のイベントを行わないため、協賛金集めなどで厳しい現実にも直面している。だが「最後までもがき続けることが次につながる」と深町さんは信じている。(加茂川雅仁)

福岡県の天気予報

PR

福岡 アクセスランキング

PR

注目のテーマ