「懐大きく」「いつも率直」 李登輝氏、九州でも交流 関係者悼む

西日本新聞 国際面 久永 健志 江藤 俊哉

 7月30日に死去した台湾の李登輝元総統は九州の関係者とも強い絆で結ばれていた。2009年9月には熊本県を3泊4日の日程で訪問し、旧交を温めた。

 このとき、台湾近代教育の礎を築いた一人とされる熊本出身の教育者、平井数馬の墓を案内した平井真理子さん(70)=福岡市博多区=は「日本の教育のおかげで今の台湾があると語っていた姿が忘れられない」と故人をしのぶ。

 真理子さんは数馬の兄の孫で、李氏との交流は17年に及んだ。日本が台湾を統治していた過去を気にする真理子さんに対して、李氏がかけたのは「日本は悪くない」との言葉。「背の高い大きな人でしたが、本当に優しくて、懐も大きな人でした」と振り返る。

 熊本訪問の際に案内役の一人だった多久善郎さん(66)=同県合志市=は、李氏と出会って15年以上になる。「かつて手紙を書いて送ったところ、丁寧な返信をもらって驚いた」ことを覚えている。「ざっくばらんで、日本に大きな期待を寄せている人だった」と尽きぬ思い出を語る。

 久留米大の大矢野栄次教授(経済学)は二十数年前に台湾で李氏と面会して以来、自宅や研究所などをしばしば訪れ交流を深めた。

 大矢野教授によると、李氏は「書籍などをきちんと読んで議論を挑むと、真剣に応じてくれる。だが、こちらが不勉強だとけんもほろろ。昔かたぎの“日本人”だった」。議論が白熱し、15分間の面会予定が2時間に延びることもあった。

 大矢野教授は8回にわたり久留米大の学生約20人を連れて渡台し、李氏の講義を受けた。李氏は学生らに「昔の日本人は誇りを持って台湾を支配した。君たちも誇りを持て」などと、べらんめえ調の日本語で語りかけたという。「李氏はいつも爽快なほど率直で、学生は驚いていた」と話した。 (久永健志、江藤俊哉)

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