「薄暗くて不気味」…人影まばらな「くすかぜ広場」佐賀県が再生へ

西日本新聞 佐賀版 北島 剛

 佐賀県庁北側、青い広告塔のそばに広場があるのをご存じだろうか。その名は「くすかぜ広場」。県警本部横の国道沿いという目立つ場所にありながら人影は多くない。県は本年度から利活用検討事業を始めた。広場の歴史を振り返り、今後について調べた。

 まずは現地へ。広場南東側から入ってすぐのところに「佐賀市庁舎跡」という石碑がある。説明板には佐賀市役所がかつてこの地にあったことが記され、1929年に市庁舎ができた当時の様子を佐賀市史から引用してこう紹介している。

 「県庁前十字街路の西北角にスレート葺(ぶき)洋館、総建坪約550坪の宏壮な一大建物が巍然(ぎぜん)として聳(そび)え立ち」、周囲の県庁本館などの建物と並ぶ様子は「東京に於(お)ける丸の内を偲(しの)ばしむるものありとて誰謂(い)ふとなく此(こ)の附近(ふきん)を『佐賀の丸ノ内』だと呼ばるるに至った」。

 やや大げさな気がするが、当時はオフィス街だったことが分かる。

 県資産活用課によると、75年まで市庁舎として使われた後、県が取得。76年にあった国民体育大会の事務局などに使われた後、県民が気軽に立ち寄れる憩いの場や文化活動の場となることを願って、92年に広場として整備された。

 同年10月10日、広場整備を報じた本紙記事には「芝生を階段状にしたミニステージ、直径8・8メートルの円形の噴水がある」と記されている。くすかぜ広場の名称は県民103人の応募を参考に決められたという。

 植樹活動に取り組む佐賀市のボランティア団体「佐賀きゃら柿の会」は2004年、広場内にヤマボウシと陽光桜を植えた。「木陰がない」という市民の声を受け、ヤマボウシはベンチのそばに今もある。広場を訪れた永原光彦会長(77)は「訪れる人は少なく、広場の名前もほとんど知られていない」と現状を嘆く。

 ミニステージは県警音楽隊のコンサートなどで利用されたが、今は人影がなく、噴水も止まったまま。樹木が生い茂り、外から広場の中が見えにくいため「薄暗くて不気味」という声も出ている。

 県は広場を活用するため本年度当初予算に事業費1768万円を計上。「歩くきっかけ、楽しさの情報発信」「県民や佐賀を訪れる人が集い憩える場所」を再整備の方針としている。芝生広場やイベントスペースとして整備し、情報発信・休憩施設を広場内に配置。本年度は基本計画を策定し、22年度の完成を目指す。県資産活用課は「体験型ワークショップなどを開いて、県民にも広場を身近に感じてもらえるようにしたい」と話す。

 近くの県庁通り商店連盟もかつては広場で観月会を開いたことがあった。岩瀬伸会長(61)は、広場の東側にNHKの新放送会館ができることから人の流れが変わることを期待する。「(広場再整備は)いい起爆剤になる。県庁通りの名前を新しく付け直すのもいいかもしれない」とアイデアを膨らませた。

 佐賀きゃら柿の会の永原さんも「子どもが走り回って遊べるような場所になってほしい」と変化に期待感を示し、「木陰を作るために、会が植えた木も残してもらえれば」と注文する。

 せっかく広場を再整備しても県民が使わなければ、また30年後に活用法を考えることになりかねない。歴史を繰り返さないためにも、官民が一緒になり広場の未来を考えていく必要がありそうだ。

(北島剛)

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