「あふれる肉汁」フレンチ仕込みの唐揚げ 生き残り図るオーナー

西日本新聞 筑後版 平峰 麻由

「街のにぎわい守りたい」

 生き残り策はフレンチ仕込みの唐揚げ-。「フレンチ屋台 総州(そうしゅう)」(福岡県久留米市)のオーナー高山鎌次さん(56)は今月下旬、店の隣に唐揚げの持ち帰り専門店を開く。新型コロナウイルスの影響で遠のいた客足が依然として回復しない中、持ち帰り需要に狙いを定めた挑戦だが、そこには「街のにぎわいを途切れさせたくない」との思いも込められている。

 実家は中華料理店。幼い頃から料理が好きだった高山さんは、中華鍋を振るう父和昭さんに対抗してフランス料理を志した。博多や関西で修業を積んでいた15年前、その父が倒れた。母は19歳のときに病気で亡くなっており、高山さんが実家で介護をすることに。飲食店への思いも募る中、「唐揚げならフレンチの技法が生かせる。介護しながらでもできそう」。父の店の調理場を使い、持ち帰りの販売を始めた。

 フレンチの技法でとった鶏がらだしと果物や野菜で作った“特製ソース”につけ込み、隠し味はアンチョビー。看板には「あふれる肉汁、こぼれる笑顔、総州のからあげ」。こだわりの味は子どもから大人まで人気を集めた。

 9年前に父が他界し、実家横に今のフレンチ店をオープンしたのが5年前。唐揚げの看板は下ろしたが、客の希望でメニューに残すと「フレンチの店になんで唐揚げが?」としばしば聞かれた。今も「あふれる肉汁~」と看板の文句を口ずさみながら、子どもたちが唐揚げを買いに来る。「自分も子ども時代、近くのうなぎ屋さんから骨せんべいをもらうのが楽しみだった。そんな地元に愛されるお店になりたい」。そんな思いで、唐揚げ店を再開しようかと考えていたころに、コロナの流行が始まった。

 3月から売り上げは6~7割減少。休業要請解除以降も、客足はなかなか戻らず、周囲では閉店する店も出てきた。賃料は毎月20万円かかる。「何もしなければ、年内までもつかどうか…」

 自慢の唐揚げはさらに進化させた。鶏もも肉は当初の倍の大きさに。味付けもしょうゆベースのみから、塩、バジル、ブラックペッパーの3種類を加えた。

 実家に帰ってからの15年間で九州新幹線が全通。一時はJR久留米駅前に新しい店もできたが、撤退した店も多いという。「駅前はもっとにぎわっていいはず。飲食店が無くなれば、街の活気も失われる。久留米のためにも、なんとか生き残りたい」。

(平峰麻由)

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