被災地の復旧阻む災害ごみ 熊本・人吉市 住民に不安と不満

西日本新聞 社会面 壇 知里

人手も置き場も不足

 豪雨で市街地が広範囲に浸水した熊本県人吉市を中心に、発生から1カ月がたとうとする今も大量の災害ごみが回収されず、街中のあちこちに残されている。同市では4500棟を超える家屋が被災したが、市の仮置き場は1カ所のみ。コロナ禍のため回収や運搬を担うボランティアも圧倒的に足りない。台風シーズンも迫る中、被災者は衛生環境の悪化を懸念し「復旧の妨げになる」と行政の対応に不満を募らせている。

 無数の木片や布団、たんす、泥まみれの自転車…。住宅地の路地や田んぼの脇道、空き地に、人の背丈ほどのごみが積まれている。数百メートルにわたって連なる場所も。「いつまで続くのか」。人吉市下林町の村松広明さん(61)は、熱風が運ぶ異臭に顔をしかめた。

 市は7月6日、市中心部から約7・5キロ離れた市中核工業用地に災害ごみの仮置き場(約2・5ヘクタール)を開設。原則として住民が運び込み、畳や家電、金属、可燃ごみに分別する運用だ。

 村松さんは自宅1階が浸水し、2階で夫婦で暮らす。漬かった家財道具を友人のトラックで運んでもらったところ、仮置き場周辺は大混雑。6時間かかったものの受付時間が過ぎてしまい、引き返したという。

 混雑は解消しても車両の確保などが難しく、やむを得ずに自宅周辺にごみを置く人は多い。ボランティア募集が県内に限定されているため、撤去作業の人手不足で量はなかなか減らない。市中心部の大通りなどは自衛隊の協力もあって回収が進んだが、手つかずの場所は相当数残る。

   ■    ■

 市内では、積み上がるごみに耐えかねた住民たちが、地域の民有地などを集約場所として使い始めた。「勝手置き場」と呼ばれ、市環境課によると、少なくとも十数カ所。土地の持ち主の許可を得ずに捨てているケースもある。市は応援市町村や県トラック協会に、仮置き場への運搬を依頼しているという。

 同市上林町一区町内会の竹下豊会長(66)は同月23日まで、市に報告した上で下水道施設横に勝手置き場を設けた。すると同区外から捨てに来る人もおり、すぐ満杯に。受け付けや分別の指導にも追われた。竹下さんは他の自治会長と共に、仮置き場の増設を再三要請。市は「仮置き場を増やせば分別に手間取り、作業を委託する業者も少ない。1カ所の方が効率的だ」と難色を示している。

 同じ県内でも芦北町は、住民が自力で運べない場合は分別して家の前に置けば町側が回収。また、2017年の九州豪雨で被災した福岡県朝倉市は利便性に配慮し、旧3市町に仮置き場を1カ所ずつ整えていた。

 いつ片付くのか見通せないごみの山。竹下さんは「このままでは台風シーズンが心配だ。街の復旧の妨げにもなる。回収方法を考え直すべきだ」と懸念している。

(壇知里)

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