「経済学は人間を幸せにできるのか」「経済学はなぜ間違え続けるのか」…

西日本新聞 オピニオン面

 「経済学は人間を幸せにできるのか」「経済学はなぜ間違え続けるのか」「経済学は何をすべきか」…

▼自問自答を含む本の出版が近年増えた。2008年の米国発リーマン・ショックがその種のタイトルを増やした。1980年代以降の世界経済で幅を利かしてきた新自由主義が、揺らぎ続けていることが背景にある

▼揺れを2020年コロナ禍が大きくした。本紙が随時掲載中の「新型コロナと文明」などでの学者らの指摘がそう思わせる。「公共サービスが削減された米国や英国で死者数が多いのは偶然ではない」「ポストコロナの価値観は、新自由主義の是正でなくてはならない」…

▼新自由主義は市場優先、規制緩和で国々の経済成長率アップに貢献したが、「小さな政府」を目指す中で公的医療などを削減した負の一部が今回あらわになった、ということのようだ。21世紀に入り新自由主義的な政策を強めてきた日本もよそごとではない

▼世界的に見るとコロナ禍は低所得層でより深刻。所得格差を世界的規模で拡大させてきたのも、市場原理主義を併せ持つ新自由主義だった。冒頭に挙げた本の題に倣っていえば、人をグローバルに幸せにする経済学が急務だ

▼宇沢弘文さんを思い浮かべる。市場万能の考え方に真っ向から対抗した人だ。ノーベル経済学賞に最も近い日本人といわれた。亡くなって6年になる。教えを継ぐ人に早く出てきてほしい。

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