コロナ感染再燃 政府は危機感が足りない

西日本新聞 オピニオン面

 政府は「4月の緊急事態宣言時とは異なる」と繰り返すが、これでどれほどの国民が安心できるだろうか。新型コロナウイルスの感染再燃は危険な水準に入ったと考えるべきだ。

 新規感染者が全国で加速度的に増え始めた。7月末に1日当たり1500人を突破し、4月のピーク時のほぼ倍に達した。九州全県も増加傾向にあり、福岡市で多くのクラスター(感染者集団)が発生している福岡県の新規感染者数のグラフは、急カーブの上昇を描いている。

 政府が緊急事態宣言下と異なるという根拠は、若者の感染者が多く、重症者が少なく、医療供給体制にまだ余裕がある-などだ。ただ感染者がこの勢いで増えれば、病床が逼迫(ひっぱく)することは火を見るよりも明らかだ。

 政府の新型コロナ対策の分科会が感染状況を4段階に分類した。感染者が増え医療への負荷が増大している東京や大阪は下から2番目の「レベル1」だ。感染者が散発的に出る「レベル0」から「1」に移りつつある自治体は他にもあるだろう。

 一般の医療に影響が及ぶ「レベル2」や、感染爆発で医療現場が機能不全に陥る「レベル3」への移行を防ぐには、予兆を見逃さないことが肝要だ。そのための「指標」の提示を分科会は次回以降に先送りした。

 高齢の感染者数やPCR検査の陽性率などが指標の候補だという。地域によって異なる医療資源や住民の年齢構成も勘案した実効性のある指標作りが求められよう。

 自治体の中には独自の非常事態宣言などを出して対策強化に乗り出す動きもあり、政府の対応は後手に回っていると言わざるを得ない。

 感染拡大を防ぐため政府は、一般市民には「3密と大声」の回避、各種業界には感染防止ガイドラインの順守を呼び掛けている。いずれも一定の効果が期待できる予防策とはいえ、感染者を速やかに見つけ出し、隔離することも重要だ。

 飲食店や病院、介護施設などでクラスターが発生する一方、感染経路不明の患者も増加している。市中感染の拡大に対応するにはPCR検査の態勢がまだまだ不十分だ。件数は先進諸国と比べると圧倒的に少ない。

 分科会の尾身茂会長は「検査の目詰まり」を指摘している。東京などでは検査を希望しても受けられないケースが増えているという。保健所の負担軽減などを大胆に進め、小さな兆候も確実に検査へつないでほしい。

 コロナ対策と社会経済活動の再開は、車のアクセルとブレーキにも例えられる。政府は危機感を強め、今はブレーキを踏む足にもっと力を入れるべきだ。

PR

社説 アクセスランキング

PR

注目のテーマ