障害者に無料で食事提供11年 墓前に届いた3000人の「ごちそうさま」

西日本新聞 大分・日田玖珠版 中山 雄介

 約11年にわたって大分県日田玖珠地域の障害者に無料で食事を提供してきた日田市新治町の長澤道夫さん(70)が4月に死去した。「好きなものをおなかいっぱい食べてほしい」ともてなしたその数は延べ約3千人。関係者は遺族から贈られた観葉植物に長澤さんの姿を重ね、その心意気に感謝し、生きる力にしている。

 長澤さんは、同市で電設資材卸会社を経営していた。父の影響もあって福祉活動に熱心で、2009年11月から日田市と玖珠、九重両町にある18障害者施設の利用者ら約20人を、経営するレストランに招待。バイキング方式で料理を無料提供してきた。

 野草の「ノビル」と「昼ごはん」を組み合わせて命名された食事会「ののひるの会」は毎月1回開催。会の世話人で障害福祉サービス事業所「神来の郷」(同市求来里)施設長の大下小弓さん(69)によると、長澤さんは足の不自由な障害者には料理が取りやすい席を確保するなど気配りの人だった。「食べることは生きる源。みんなが食べる姿を見ていると元気をもらえる」とにこにこ笑う顔が忘れられないという。

 「生ある限り活動を続けたい」と話していたが、病気が悪化。会の活動も2月で終了した。新型コロナウイルス感染防止で、長澤さんの葬儀には大下さんら代表者のみが参列し、「3千人分のごちそうさま」と感謝の気持ちを伝えたという。

 四十九日の法要後、遺族から18施設に「ののひるの樹」と名付けられた観葉植物が贈られた。施設側からは「大切に育てます」「おいしいごはんありがとう」などのメッセージを返した。大下さんは「損得勘定を抜きにした長澤さんの奉仕の精神を今後も忘れないようにしていきたい」と話した。 (中山雄介)

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