雨は7月28日夕に峠を越え、夜には弱まった…

西日本新聞 オピニオン面

 雨は7月28日夕に峠を越え、夜には弱まった。そこで安心してはならなかった。山形県の最上川。氾濫は翌日未明から朝にかけて中流域で続発した

▼NHKが伝えた専門家の原因分析にうなずいた。水位のピークは上流が28日午後4時、中流が29日午前1時半、下流は同日正午ごろ。つまり、この「時間差」に怖さがあった。最上川の長さは229キロに及ぶ

▼熊本県の球磨川は全長115キロ。先の氾濫では最上川とは対照的に短時間で川全体の水位が急上昇し、多くの犠牲者が出た。雨の降り方に違いもあったようだが、いずれにしても川の流れを侮ってはならない。それが教訓だろう

▼時間差といえば、こちらの流行も気になる。7月下旬から続く新型コロナ感染者の再拡大。感染から発症までは1~14日、平均では1週間前後とされるウイルスの潜伏期間からみれば、実際に感染が広がり始めたのは中旬か

▼政府が旅行需要喚起策「Go To トラベル」の前倒し実施を発表したのは7月10日。これが世の中の緊張感に緩みをもたらしたのか。そうであれば何をか言わんやである

▼災害多発を受け、気象庁は大雨特別警報の発表基準を見直すという。コロナ対策でも緊急事態宣言の在り方を再考する必要はないのか。経済の再生も重要だが、感染症の怖さも再認識すべきだろう。政府の見通しの甘さで、この先に大流行の恐怖が待ち構えていなければいいが。

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