被災地包む追悼の祈り 豪雨災害発生から1カ月

 熊本県内で65人が亡くなり、2人が行方不明となっている豪雨災害は4日、発生から1カ月を迎えた。倒壊した建物などがなお残る被災地は追悼の祈りに包まれ、被災自治体は新たな部署を設けるなど復旧、復興への決意を新たにした。

 20人が犠牲になり、約630人が避難所生活を続ける人吉市では、市が午前9時に防災無線でサイレンを鳴らし追悼を呼び掛けた。浸水被害が広がった同市下青井町の別府ひろえさん(81)は「うちの近くで3人が亡くなった。こんなひどか災害は初めて。悲しいことです」と悲痛な面持ちで語った。入所者14人が犠牲となった球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」でも、ゆかりのある人たちが次々と献花に訪れ、静かに手を合わせていた。

 被災地では泥で汚れた家屋の清掃やがれきの撤去などが急ピッチで進む。しかし八代市坂本町葉木の集落では高齢者世帯など手つかずの家も多く、自衛隊員が重機や車両で片付けに当たった。男性自衛官は「少しでも役に立ちたい」。1カ月ぶりに自宅に入った蓑田正晴さん(70)は「やっと子どもたちの思い出の品を取り出せた」とかすかに笑顔を見せた。ただ「もうここには住めない」。

 人吉市中心部のスポーツ店に市民ボランティアが開設した支援物資の供給拠点には、扇風機や紙おむつ、ペットフードなどが山積みに。近くで美容院を経営する川嶋久美子さん(42)は「車が浸水して廃車になったので近所に拠点があるのは助かります」。それでも人手は不足しており「店の再開はいつになるのか」と不安を隠さなかった。

 球磨村のさくらドームに集まったボランティアは持ち場に向かう前に黙とう。今回が3回目の参加になるという製造業労働組合役員の森祐樹さん(33)は「地区によって復旧の程度は違うが、状況は少しずついい方向に変わってきた」。

 被災直後、運動場に付近住民の無事を知らせる「120メイヒナン」を大きく記した球磨村の神瀬保育園に隣接する神照寺では、有志らが汗を流した。昼食休憩の際には、熊本地震で被災者支援の経験がある岩崎哲秀住職が、被災住民に支援策が書かれたチラシを示しながら「早めに申請をしておいた方がいい」などとアドバイスしていた。

 県や市町村は被災者支援に本腰を入れる。県議会は4日、臨時会を開き、豪雨災害と新型コロナウイルスへの対策費計441億9300万円を追加する本年度一般会計補正予算案など7件を可決した。冒頭、県議らが豪雨の犠牲者に黙とうをささげた。県災害対策本部会議で蒲島郁夫知事は「畳や家具、がれきなどを一日も早く撤去し、生活再建を後押しする」と述べた。

 人吉市は同日、松岡市長を本部長とする災害復興本部を発足。メンバー17人はいずれも兼務で、被災者や産業支援、インフラ強靱(きょうじん)化などの課題に部や課を超えて取り組むという。

 八代市は総務企画部内に復興推進課を新設。被害の大きかった同市坂本町を管轄する坂本支所には職員1人を増員した。復興推進課は5人態勢で復興計画を策定する。辞令交付式で中村博生市長は「地域を守るための課になる。住民の思いを調整する難しい業務で丁寧に取り組んでほしい」と訓示。宮川武晴課長は「国や県など関係機関と連携しながら一丸となって取り組みたい」と話した。

 (井崎圭、長松院ゆりか、壇知里、綾部庸介、梅沢平、中村太郎、松本紗菜子、和田剛)

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