南フランスのサロンドプロバンスに「記念館」はあった…

西日本新聞 オピニオン面

 南フランスのサロンドプロバンスに「記念館」はあった。パリから遠い田舎にわざわざ日本から来る人も多いとか。館内のろう人形は未来を凝視するかのような表情で迎えてくれた

▼その町で晩年を過ごしたノストラダムスの資料を集めた施設だ。1973年に出版された五島勉氏の「ノストラダムスの大予言」で、日本にオカルトブームを巻き起こした

▼ノストラダムスの名を、人類滅亡を暗示したという詩<1999年7の月/空から恐怖の大王が来るだろう…>とともにご記憶の方も多かろう。核戦争、隕石(いんせき)の衝突、大災害、疫病、公害…。子どもながらあれこれ想像して眠れぬ夜もあった

▼先日、五島氏の訃報に接し、以前に訪ねた記念館を思い出した。70年代は中東戦争やオイルショックで社会に不安が広がっていた。五島氏は、恐ろしげな予言を通じて、核軍拡競争や環境破壊をやめない人類に警告を発したかった、と後に語っている

▼「恐怖の大王」はいかようにも解釈できる。99年の2年後に起きた米中枢同時テロに「予言的中」とする声があった。今、世界を覆う新型コロナ禍に見立てることもできよう

▼医師でもあったノストラダムスはペストが大流行した地に赴き、消毒やネズミの駆除、火葬など当時は珍しかった感染対策を行った、ともいわれる。社会の不安をあおる予言者よりも、病魔と闘った医師として彼を再評価してみるのもいい。

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