臨時国会要求 政権は論戦から逃げるな

西日本新聞 オピニオン面

 安倍晋三首相と与党は一体いつになったら国会審議に応じるのか。国民の負託に応えようとせず、論戦から逃げる政権の姿勢は無責任に過ぎる。直ちに臨時国会を召集すべきだ。

 立憲民主党など野党4党が、憲法53条の規定に基づいて臨時国会の早期召集を求める要望書を衆院議長に提出した。

 新型コロナウイルスの感染再燃や九州などの豪雨災害への対応を考えれば、当然の要求だ。

 政府のコロナ対応は場当たり的で迷走している。感染拡大の傾向が明らかなのに、観光支援事業を前倒しして実施に踏み切った。「圧倒的に東京の問題」(菅義偉官房長官)として東京だけを対象から除外したが、福岡や沖縄など全国各地へ感染は広がっている。

 西村康稔経済再生担当相が高齢者の感染に配慮し「お盆の帰省は慎重に」と呼び掛けたかと思えば、菅官房長官が「国として一律に(帰省を)控えてほしいと言っているわけではない」と軌道修正するなど、ちぐはぐな発言も目立つ。野党が「朝令暮改で支離滅裂」と批判するのも無理はない。

 憲法53条は衆参いずれかの総議員の4分の1以上の要求があれば、内閣は臨時国会の召集を決定しなければならない-と定めている。だが期限の規定がないことを理由に、政権側は消極的な姿勢を崩していない。

 野党が憲法の規定に基づく召集を求めてきても、事実上たなざらしにしておく。安倍政権はそんな不誠実な対応を繰り返してきた。憲法と国会を軽視する姿勢と言わざるを得ない。

 2017年には要求を放置した揚げ句、やっと召集した臨時国会冒頭で衆院を解散した。この安倍内閣の対応が憲法違反かどうかを争った裁判の判決で那覇地裁は今年6月、合憲か違憲かの判断は避けたが、53条については「憲法が明文で規定する法的義務」と明快に指摘した。

 この判決の趣旨に照らしても安倍内閣は早期に臨時国会を召集するのが筋である。

 そもそも憲法を持ち出すまでもなく、先の通常国会を延長せずに閉じ、閉会中審査にも首相が出席しないことが異常ではないのか。「審議する法案がない」と与党は言い訳するが、新型コロナ特措法の改正論議などは事態の「収束後」と言わず、今すぐ始めるべきだ。要はやる気の問題だろう。

 東京都医師会の会長が法的拘束力のある休業要請を実現するために法改正を訴えた記者会見で「コロナに夏休みはない」と国会の早期召集を求めた。

 全くその通りだ。国権の最高機関がいつまでも長い夏休みを取っている場合ではない。

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